■これぞ昼ドラに相応しい漫画…2度もドラマ化された『風の輪舞(ロンド)』
『風の輪舞』は津雲むつみさんによって1988年集英社の漫画雑誌『YOU』に掲載された作品だ。
主人公・夏生は小学生のころ、母と叔父を火事により亡くしている。父が亡き叔父の事業を引き継いだため、夏生は親戚が住む野代家で暮らすことになるのだが、そこでは亡き叔父の妻・麻美からの執拗な嫌がらせが待っていた。しかし、夏生はいつしか麻美の息子・英明と恋に落ちて……というストーリーだ。
『風の輪舞』は1995年にはじめてドラマ化され、2006年にも『新・風のロンド』として再ドラマ化を果たしている。2度目のドラマの主役は『牡丹と薔薇』でドロドロの愛憎劇を見せた小沢真珠さんとあって、話題性も高かった。
そもそも漫画作者の津雲むつみさんが描く作品は、大人向けで悲劇性の強い作品が多い。若くて美しい女性が権力のある男に手籠めにされるシーンなども多く、筆者もはじめて読んだ時は衝撃を受けた。
それでも時代を超えて力強く生きていく女性のストーリーは壮大で、ドラマ化されるにはピッタリの作品だ。『風の輪舞』では、最後まで執拗に夏生を追い詰めていく麻美の衝撃的な最期にも注目してほしい。
今回紹介した3作品は、いずれも重要な人物が亡くなったり、複雑な恋愛関係に発展したりと、目が離せないストーリーになっている。現実にはありえない展開でも、漫画やドラマの世界では夢中になって見てしまうのはなぜだろう。今では昼ドラが放送されることは少ないが、少女漫画ならではのドロドロの愛憎劇作品を読み返してみるのも面白い。