■『アルキメデスの大戦』櫂直・菅田将暉

 最後は、2019年公開『アルキメデスの大戦』から、天才数学者・櫂直を演じた菅田将暉さんを紹介する。『ドラゴン桜』で有名な三田紀房さん原作『アルキメデスの大戦』は、1930年代、戦争へと突き進む日本と、それを数学の力でそれを止めようとした海軍主計少佐・櫂直の戦いを描いた史実をもとにしたフィクション作品だ。

 主人公の櫂直は、気になったものは測らずにはいられない計測マニア。話し方も非常に強く早口で、現代でいうオタク気質にあふれる青年だ。一方、日本の行く末を案じ、数学の力で戦争を本気で止めようとした熱い軍人でもある。

 この櫂直を演じたのが、マルチ分野で活躍する俳優・菅田さんだ。浜辺美波さんが演じる財閥令嬢の体のパーツまでも測ってしまうなど、数学の天才ゆえのコミカルな演技もありつつ、とくにクライマックスの大会議はこの作品の最大の見せ場だった。

 日本がこのまま戦争に突き進むのか否かが決まる大事な場面で、数式を板書しながらの菅田さんの長セリフ。会議出席者を本気で説得しようとするかのような熱が入った演技は、まさに圧巻のひと言だった。

 

 今回は、実写化作品で天才役を見事に演じたイケメン俳優たちを紹介してきた。原作キャラはいずれも常人離れした天才で、主役もしくはそれ以上に作品の肝となる存在だった。ゆえに、原作漫画ファンの人気も高く、実写化でもっとも注目される役であっただろう。

 そんな高いハードルを見事にクリアし、完全に天才になりきっていた俳優たち。そういった意味では、彼らもまた一種の“天才”だと言えるのかもしれない。

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