漫画週刊誌の目次コメントやコミックスのカバー折り返し部分やおまけページに載せてある漫画家のコメントをじっくりと見たことあるだろうか。たいていは日常の些細な出来事を伝えるものだったり、編集からのお題返しだったりすることが多い。
ただ、作品からは知ることができない漫画家の何気ない一面が透けて見え、面白かったりするのがこの部分。巻末コメントに凝っている漫画家もいて、謎解きになっていたり、漫画家同士でコメントのやり取りがあったりで、興味深いものもある。
なかには、頭の中に「はてなマーク」が浮かぶコメントもある。明らかに読者に向けてのメッセージではないものや、漫画家の内面・内情を知らないと読み解けないコメントがあったりする。今回は、ドキリとした漫画家の意味深コメントを紹介していく。
■冨樫義博氏の「あきらめたので そこで 制作終了」
まずは、『HUNTER×HUNTER』コミックス第37巻に書かれた冨樫義博氏のコメントを紹介する。
2022年10月、約4年間の休載から連載が再開され話題を呼んだ同作。同年11月にはコミックス第37巻が発売され、長年待ち続けた待望のコミックスということで購入した人も多いだろう。そのコミックスのカバー折り返し部分には縦書き2行で、「あきらめたので そこで 制作終了。」という作者のコメントがある。
これは井上雄彦氏の漫画『SLAM DUNK』の安西先生による「あきらめたらそこで試合終了ですよ…?」をオマージュしているのは明らかだ。
「あきらめたので」というのはあくまでも「(今回の)制作終了」として、次の連載再開へ向けてのコメントと思われる。だが、冨樫氏が『HUNTER×HUNTER』をここで終え、2度と描かないつもりで筆を置いたのではないかと、ついドキリとしてしまうニュアンスも漂うコメントでもある。
2022年12月に発売された『週刊少年ジャンプ』新年4・5合併号で、今後の同作について週刊連載ではない形で掲載されると発表されたが、2023年3月9日に冨樫氏は自身のX(当時のTwitter)にて401話の完成を伝えていた。最善の形で暗黒大陸編の続きが読める日を待ちたいところだ。
■何に対しての謝罪? さくらももこ氏「あーみんごめんよォ」
続いて紹介するのは、『ちびまるこちゃん』の作者で知られるさくらももこ氏の「あーみんごめんよォ。」のコメントだ。こちらは、『ちびまる子ちゃん』コミックス第2巻の巻中に漫画の一コマのような形で表現されている。その一コマは、さくら氏が心細いので、友人を連れて「あーみん」に謝罪している、という内容。
さくら氏が謝罪をしている「あーみん」なる人物だが、十中八九、『お父さんは心配症』や『ルナティック雑技団』で知られる漫画家・岡田あーみん氏であろう。
「あーみん」=「岡田あーみん」である根拠は、謝罪コマが掲載されているコミックス第2巻の中で、岡田氏と『お父さんは心配症』との合作漫画を描いており、その合間に件の一コマがあるからだ。
そこでドキリとするのが、さくら氏が岡田氏に何に対して謝罪しているのかだ。わざわざ友人を連れて謝罪するほどのこととは、一体何なのか。重大なことなのか、はたまた取るに足らない些細な出来事をノリで描いたのか。結局30年以上経った今でも真相は明かされておらず、いまだにドキリとする内容だ。