■魚人にひっくり返された家も…細かすぎる再現がチラホラ

 特定のシーンだけでなく、さりげないアイテムやセットにもこだわりが多い。配信前に公開されたゴーイング・メリー号はその再現度の高さからネット上で話題になったが、それだけではない。

 たとえば第7話では、ココヤシ村を訪れたルフィが土台からひっくり返った家を見つける。屋根が地面に突き刺さる珍妙な家は、原作ではココヤシ村の隣町・ゴザで発見されたものだ。すべての家屋がひっくり返ってしまったゴザの街並みは、魚人の恐ろしさを予感させるインパクトがあった。

 本筋にはあまり関係ないシーンなのだが、あえて拾うスタッフ陣の丁寧さについ唸らされる。

 大仰なセットだけでなく、バギーの赤っ鼻のような小物も忠実なものが多い。個人的にはゼフがすごい。彼の特徴である長すぎるコック帽や木の棒で作った義足は、原作からそのまま持ってきたかのようだった。

 まだ本作を観ていない人も、ぜひ「漫画で見た!」とつい言いたくなるこだわりの数々を目撃してほしい。

 

 全8話の連続ドラマ化に際し、本作は多くの要素やストーリーを改変、再構成している。ドラマとして変えるべきポイントは変え、残せる部分は残す。そして残せる部分では徹底的に『ONE PIECE』の世界を再現する。

 そのメリハリこそが、世界中で大ヒットする面白さの一端を担っているのかもしれない。ハリウッド実写版『ONE PIECE』は、実写版に苦手意識のある漫画・アニメファンにこそ見てほしい、新しくも原作愛にあふれた『ONE PIECE』 だ。

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