■作者の生前のメモをもとに結末を追加

 同じく未完の名作として知られるのが、多田かおるさんによる『イタズラなKiss』。

 こちらは『別冊マーガレット』(集英社)にて1990年から1999年3月号まで連載されていたが、連載中に作者が急逝したことにより、コミックス23巻にて未完のままとなっていた。

 それまでも国内外でドラマ化され話題となっていた同作。2008年に放送されたテレビアニメ化の際には、作者の生前の構想メモを元にした結末が追加された。

 原作漫画は主人公に妊娠の可能性があるという気になるところで終わっていたため、アニメ化によってようやく物語が完結を迎えたといっていいだろう。他の作品以上に感慨深い気持ちになるハッピーエンドだった。

 近年の同じ例としては、『別冊少女コミック』(小学館)にて1985年から1994年まで連載されていた吉田秋生さんによる『BANANA FISH』もそうだろう。同作はコミックス全19巻で完結しており、2018年に作者の40周年記念プロジェクトの一環としてフジテレビのノイタミナ枠でアニメ化された。

 これは実に24年ぶりのアニメ化ということになる。アニメ化に際して小物などは現代ふうに変更されたが、キャラクターのファッションやニューヨークの治安の悪さはそのまま。当時の作品から感じる空気感はそのままに美麗な作画でアニメ化されたことで、アニメをきっかけに多くの新規ファンも獲得した。

 ファンにとっては、年数が経ってからのアニメ化は嬉しいもの。『君に届け』3期も、きっと我々の胸をときめかせてくれることだろう。

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