■記憶はないが強い使命感で妹を守る『マクロスF』ブレラ・スターン

 最後は、2008年のアニメ『マクロスF』から。ヒロインの一人であるランカ・リーの兄・ブレラ・スターンを紹介する。

 ブレラ・スターンはマクロス・ギャラクシー船団所属アンタレス小隊の隊長で、身体の大部分をインプラント化したサイボーグの兵士である。しかし、そのインプラント化により記憶のほとんどを失い、妹であるランカのことも覚えていない。

 妹・ランカも同じく記憶を失っており、2人が唯一共通して覚えている「アイモ」という曲だけが、兄妹を繋ぐものとなっている。そして、記憶を失っているにもかかわらず、兄の本能なのか、強い使命感のもとランカを守り続ける姿が健気だった。

 TVアニメ版を再構築した劇場版2部作『劇場版 マクロスF 虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~』『劇場版 マクロスF 恋離飛翼~サヨナラノツバサ~』では、アニメ版と少し設定が異なっている。

 劇場版のブレラは過去の記憶は残されていたものの、インプラントによるギャラクシーの支配が強く、自分の本当の心をなくしてしまっている。最終的にはギャラクシーの支配から抜け出し本当の心を取り戻すが、それまで犯してきた罪への償いとして敵本体のクイーン・フロンティアに特攻、作中の黒幕である電脳貴族もろとも爆死することで、妹・ランカ、そして人類を救った。

 アニメ版でブレラは死んでいないだけに、劇場版オリジナルの切ない兄の最期だった。

 

 今回は、漫画やアニメに登場した妹思いの泣かせる兄キャラを3人紹介してきた。いずれの兄も妹を強く思っているものの、妹本人に言葉では伝えることは少ない。

 しかし、その言葉足らずのぶんを、命がけで守るという態度で伝えるタイプの兄たちでもあった。その姿には男気やちょっとした切なさも感じ、私たち読者を一層泣かせるものとなっていた。

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