■酔っぱらいおじさんはのちに五輪の日本代表監督に…!? 『キャプテン翼』吉良耕三

 最後に、高橋陽一氏の『キャプテン翼』に登場する吉良耕三を紹介する。吉良耕三は『小学生編』で大空翼が決勝で対戦する「明和FC」の監督で、その後のストーリーでも活躍する日向小次郎、若島津健、沢田タケシの師匠である。

 その見た目は、まさに“酔っぱらいおじさん”。実際、原作漫画では大会中でも一升瓶で酒を飲んでいた。ちなみに、2018年の新アニメ版では、時代的に酒はまずかったのか急須とお茶に変わっている。

 そんな吉良であるが、実は「海外からのプロ入りのオファーを断った幻の日本人プロサッカー選手第一号」という過去を持ち、監督としても選手としても実力は本物。

 新アニメ版第33話「東京大会決着」では、心臓病を抱える三杉淳に対して徹底したプレーがとれなかった小次郎に「今のおまえは牙のぬけおちたおりの中の虎よ!」と一喝。

 再度自分のもとで特訓し、小次郎が本来持つ闘志を復活させ、タイガーショット完成へと導いている。その後もネオ・タイガーショットや雷獣シュートなど、小次郎の成長には欠かせない存在だった。

 そして、続編の『キャプテン翼 GOLDEN−23』や『キャプテン翼 ライジングサン』では、なんと五輪の日本代表監督に就任している。実は現在の“キャプ翼”の世界では、吉良を中心に日本サッカー界が回っていると言っても過言ではないのだ。

 

 今回は、スポーツ漫画に登場する無能に見えるけど実は有能な意外な名監督3人を紹介してきた。いずれの監督も、見た目こそスポーツからかけ離れ、お世辞にも優秀そうには見えないものだった。

 しかし実は、過去は選手としても優秀で、そして、監督としての知識や采配は素晴らしくまさに名監督といえる。漫画やアニメの世界こそ、人は見た目によらないということだろう。

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