■「だが……今は違う!!」「ギュッ」インターネット・ミームにもなった言葉たち
『K2』を語るうえで外せないのが、作品を彩る独特のワードセンスだろう。
有名なものでは、第30話の「だが……今は違う!!」が挙げられる。以前は治療困難だった心房細動が技術の発展で治せるようになったシーンにおける一人のセリフで、医療の進歩を賞賛する名言だ。
その印象深さと汎用性の高さから読者の間で定着し、「以前は無理だったが今は可能になった」というシチュエーションで使われるように。全話無料期間中は「かつて『K2』は無料では読めなかった……だが……今は違う!!」といった具合でファン同士がやりとりを楽しんでいた。
もうひとつ本作を代表するワードに「ギュッ」という擬音がある。キャラクターが重要な発言や決断をする際、荒々しい書体で「ギュッ」がよく描かれており、決めゼリフならぬ「決め擬音」として知られている。
さて、この「ギュッ」なのだが、いったいなにがどう鳴っている音なのか……実はよくわからない。手術用のゴム手袋を着ける際に使われるケースもあるが、多くは大事なシーンを強調するかのように「ギュッ」と描かれている。謎だがカッコいい擬音「ギュッ」は多くの読者のハートを掴み、いまや『K2』を象徴する言葉になっている。
ほかにも無自覚の重症患者に対する「お前が行くべきは◯◯ではない……病院だ!」など、印象的なセリフが多いのも本作の魅力だ。いわゆる“インターネット・ミーム”として広まっているワードも少なくない。
2024年に連載20周年を迎える『K2』。その面白さは日々進歩する医療のように留まるところを知らない。残念ながら全話無料公開は終わってしまったが『コミックDAYS』アプリや単行本など、読む手段はたくさんある。
気になった人はぜひ『K2』を読み進めて、来年の連載20周年を読者として迎えてほしい。