■ただのイヤなヤツかと思ったら・・・『FF8』のサイファー・アルマシー
最後に紹介するのは『FF8』のサイファー・アルマシー。主人公のスコールらが所属する傭兵養成学校「バラムガーデン」の一員で、SeeD候補生の青年だ。
サイファーは同じくSeeD候補生のスコールをライバル視し、しょっちゅう絡んでいた。そんな彼はティンバーの大統領襲撃事件で勝手な行動に出たのを期に、魔女イデアによって言葉巧みに彼女の陣営に引き入れられてしまう。
その後みるみるうちに孤立を深めたサイファーは、完全に敵としてスコール達の目の前に立ちはだかった。後に護るべき魔女を失ってしまったときには、暴走してリノアを生贄に捧げるなど、やりたい放題するように……。
「いつでもデカいことやってたいんだよ!」と言うセリフからわかるように、彼の根底には何かを成し遂げて他人に影響を与えたいという気持ちがある。だからこそ暴走したり、スコールを打ち負かそうと躍起になったりしてしまったのだろう。
彼は元々粗暴な性格なので、「闇落ち」とするのは人によっては違和感があるかもしれない。しかし過去にヒロイン・リノアの相談に度々乗っている描写もあり、本来は世話焼きな一面もあったようだ。
最終的には自分を慕っていたとりまきの風神の叱責まで受けてしまったサイファー。エンディングでは自分自身を見つめ直すような描写もあり、反省はしているようだ。
今回紹介したキャラクターは、形は違えど何かしらの劣等感を抱え、結果として道を踏み外してしまったという点が共通している。
何があっても善を貫き続ける人は強いが、皆が皆そうなれるわけではない。だからこそ、人間臭さゆえに闇落ちしてしまった彼らが愛されるのではないだろうか。