■圧巻のライブシーンも人気となった『けいおん!』

 かきふらい氏による『けいおん!』は、もともとは4コマ漫画だったが、京都アニメーションでのアニメ化により、より物語に繊細な肉付きがなされ大ヒットを記録した作品。

 コミックスでは4巻分の高校生編の内容を元にアニメでは2期にわたって描いているため、登場人物たちの何気ない所作や風景描写も丁寧に描かれていて高評価を集めたのだ。

 ストーリー自体に大きな変化はないものの、やはり同じサイズのコマで淡々と進んでいく4コマ漫画に比べ、アニメの方が表現の幅が多彩である。特にライブシーンはそれが顕著で、同作が音楽ものであるからこそ臨場感のある表現が視聴者に感動を生んだのだろう。

 このほか、『モーニング』(講談社)に1999年から連載されていた幸村誠氏による『プラネテス』もアニメと漫画で内容が大きく異なっている。

 宇宙のゴミ「デブリ」の回収作業員であるハチマキが主人公であるが、原作では主人公視点で物語が進んでいくのに対し、アニメではハチマキとタナベの関係性に焦点が当てられ、ヒロインであるタナベのキャラクター設定も異なっている。

 さらに最終回の展開も大きく異なるが、この作品の稀有な点は両者が「違う作品として楽しめる」「どちらがいいというわけではなく、どちらも面白い」という評価を集めているところだ。ファンとしてはつい優劣をつけてしまうものだが、どちらにも納得のいく作品を作ることは本当に難しいことだ。

 オリジナル展開のアニメを批判する風潮にあるのは確かだが、中にはアニメ化にあたって素晴らしい評価を集めるものもある。また何よりアニメをきっかけに原作の注目度が上がることはファンとしてありがたいことだろう。

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