漫画がアニメ化する際、内容が大きく変わることは少なくない。特に2000年代初期までの週刊誌連載の漫画を原作としたアニメは、放送が連載に追いついたためにオリジナル展開で場をつなぐというケースが珍しくなかった。
こうしたアニメ独自の展開は原作ファンにとっては受け入れ難いものではあるが、中には原作とアニメで全く内容が違うにも関わらず、高い評価を集めたアニメ作品も少なからずある。
今回は、原作とアニメで内容や展開が違うのに高評価を集めたレアな作品を紹介したい。
まずは、『月刊IKKI』(小学館)にて連載されていた鬼頭莫宏氏の『ぼくらの』。2007年から放送されたGONZO制作によるアニメは、石川智晶の歌うオープニング曲「アンインストール」が話題となり、アニメ化をきっかけに原作漫画自体の知名度もグンと上がった。
同作は、夏休みに自然学校に参加した少年少女15人がゲームに誘われて謎の男・ココペリと契約を結んだことをきっかけにジアースというロボットに搭乗し、地球を守るために命をかけて戦うというもの。
戦いが終わるごとにパイロットが変わり、役目を終えたパイロットは勝敗にかかわらず死亡するという残酷なルールがある。
アニメの企画は原作の「阿野万記」編連載時に決定し、アニメ版の監督を務めた森田宏幸氏が鬼頭氏から構想を聞いた上で自由に作ったということが語られている。アニメ版の後半はオリジナルストーリーとなっており、子どもたちの操縦パイロットの順番が違っていたり、オリジナルキャラクターも含めた大人たちにも焦点が当てられた展開が描かれる。
アニメ初見の人はもちろん楽しめる上、キャラクターの生死や結末が異なるので、アニメの後に原作を読んでみるのも一興だろう。
■変身少女要素が加わった『赤ずきんチャチャ』
『りぼん』(集英社)で連載されていた彩花みん氏の『赤ずきんチャチャ』も原作とアニメで大きく内容が異なる作品のひとつだろう。
原作はドタバタギャグ漫画だったが、1994年から放送されていたアニメではスポンサーの意向で敵キャラが登場し、彼らと戦うために主人公のチャチャが仲間であるリーヤとしいねと力を合わせて変身するという魔法少女ものの要素があった。
登場するキャラクターやギャグベースの展開は同じとはいえ、原作にはいっさい登場しない「プリンセスメダリオン」というアイテムが登場したり、チャチャが大人のような姿の「マジカルプリンセス」に変身するなど、原作を読んでいた人にとってはまるで別世界のようにびっくりの展開。ストーリーも大魔王の城に向かう旅をするなど、RPG色が濃かった。
しかし当時『美少女戦士セーラームーン』などのような変身少女ものの作品が流行していたこともあり、アニメのメイン視聴者層である少女たちにとっては『チャチャ』の変身展開はすんなりと受け入れられたのではないだろうか。また原作がなんでもありのギャグ漫画だったというのも許容できた理由として大きいだろう。
アニメ終了後は、原作にアニメ版を皮肉ったようなギャグが登場したこともあるが、作者自身はアニメ版に好意的なコメントを残している。