1986年5月27日にファミコン用ソフトとして『ドラゴンクエスト』が誕生。日本にロールプレイングゲームを広めた作品としてすぐにブームは広がり、1988年2月に発売された『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は、発売日当日に家電量販店に2キロメートルに及ぶ行列客が作られるなど、社会現象として伝えられたタイトルでもあった。そして『ドラクエ3』の大ヒットから長い期間、RPGブームが続くこととなる。
ファミコン『スーパーマリオブラザーズ』のヒット以降、多くの横スクロールアクションゲームが誕生したように、『ドラクエ3』のヒットから数年間は突然RPG化したタイトルも珍しくなかった。
■『北斗の拳3 新世紀創造 凄拳列伝』
まずは、1989年に東映動画(現:東映アニメーション)から発売された『北斗の拳3 新世紀創造 凄拳列伝』。前作である『北斗の拳2 世紀末救世主伝説』まで、オーソドックスな横スクロールアクションだったゲーム『北斗の拳』シリーズは、第3弾となる本作でRPG化を果たした。
原作はもちろん武論尊氏・原哲夫氏による漫画『北斗の拳』。ケンシロウがリンやバットなどを仲間に旅をしていくというもので、エンカウントした敵と戦ってレベルや金を取得し、「かわのかたあて」や「こんぼう」「ヌンチャク」などを買い、自キャラを強化しながらシナリオを進めていくというオーソドックスなRPGとなっている。ちなみに、この作品では金は原作の設定を活かした形で「ジュドル」という名前となっている。
シナリオ的にはジード襲撃からの原作の内容をなぞっているのだが、RPGゆえに序盤のケンシロウは弱い。レベル1からスタートするため最初は秘孔も突けず、ザコ敵にやられる始末。強さはバットやリンと同じほどで、むしろ武器を装備したバットのほうが攻撃力が高いという具合である。
他にもリンがいきなり喋れたりと、いろいろと原作とは違う部分のある作品でもあった。しかし、実は過去作も「天破の拳」や「北斗紫滅光破」といったオリジナル技があったりと、ファミコン『北斗の拳』ではこのあたりはありがちな点。むしろ、本作は原作に忠実な方だという見方も出来る。ボス戦ではシン、ジャギ、デビルリバース、サウザーなどなど漫画・アニメでもお馴染みのメンバーが原作忠実のグラフィックで登場している。RPG化したことで、それ以前のファミコン『北斗の拳』よりも表現力が上がったとも言えるだろう。
■『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語』
それまで戦略シミュレーションやアクションゲームの要素が強かった『SDガンダム』シリーズだが、この『SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語』(1990年)で、ナイトガンダムのみが独立し、RPGへ。一気に王道ファンタジーRPGとなった。
フィールドデザインや戦闘画面やゲームシステムの大部分が『ドラゴンクエスト3』に酷似しているため、やはりこの大胆な変化の裏には大ブレイクした『ドラクエ』の影響があったのではないか。しかしもともとが剣と魔法のファンタジーものだった『ナイトガンダム』シリーズ。そのゲーム化であり、単体作品として見ても全く違和感のない仕上がりとなっており、RPGとして完成度は高い。
また当時は『ドラゴンクエスト3』からスーパーファミコン、さらにその後まで長く続くRPGブームの真っただ中。同時に、カードダスも流行していた時期であった。
そういったさまざまな要素が噛み合い、本シリーズは『SDガンダム』シリーズと差別化された、『SDガンダム外伝』シリーズとして、その後も長く続く人気シリーズとなった。