『項劉記』に『ランペルール』も…今のシステムで復活してほしい“光栄時代の歴史シミュレーションゲーム”3選の画像
スーパーファミコンソフト『項劉記』

 歴史シミュレーションゲームの先駆けといえば、やはり光栄(現:コーエーテクモゲームス)が発売した作品たちだろう。『三國志』や『信長の野望』の2大シリーズは、令和の現代でも人気を博している。

 さて、そんな光栄のゲームソフトだが、パソコンから別のハードに移植されてもシリーズ化されずに現代では遊べない作品もある。そこで、今回は現代のシステムで復活してほしい光栄時代の歴史シミュレーションゲームを紹介していこう。

■『キングダム』を読んでまた遊びたくなった『項劉記』

 まずは、1993年にパソコン用ゲームとして発売された『項劉記』だ。1994年にスーパーファミコン、1998年にはプレイステーションへ移植されている。

 歴史好きな筆者は、原泰久氏の大人気漫画『キングダム』(集英社)を読んでいると、無性に『項劉記』をプレイしたくなる。舞台は『キングダム』よりも数十年ほど先のことになるのだが、何かとつながりがあるから面白い。

 さて、このゲームはまず、項羽と劉邦のどちらかの勢力を選択する。『三國志』は大勢の勢力から選択するのだが、『項劉記』は史実通りに2大勢力から選ばなくてはならないのだ。

 シナリオは4つあり、項羽と劉邦がそれぞれ優位となるシナリオが異なる。たとえば、シナリオ1は項羽が優位だが、シナリオ4では圧倒的に劉邦が有利となっている。わずか3〜4年でここまで勢力の大きさが変わってくるのは、史実同様に面白いものだ。

 ほかのシミュレーションゲームと違って内政面がそれほど重要ともいえず、基本は戦闘や行軍がメインとなる。シナリオ4の項羽なんて内政している暇などあり得ない。次々に襲い掛かる敵を真向から撃破していかないとクリアできないほどだ。

 ただ、このゲームの醍醐味はなんと言ってもシナリオ4の「前203年 項 垓下に涙す」で項羽を選択することだろう。敵だらけの状態でまさに四面楚歌……なんとか史実を覆してやろうと躍起になったものである。

 劉邦を選択した場合、“高祖の三傑”ともいうべき「韓信」「張良」「蕭何」が揃い踏みになれば嬉しいが、このゲームは独立勢力を味方に付けることが大事で史実同様に王となった韓信は直接操作できなくなってしまう。

 やはり韓信のような優秀な武将は自分で操作したい……。なればこそ、野望を秘めた独立勢力を操作できるように、また今のシステムで再登場してくれないだろうか。

■家庭用には移植されていないのが残念で仕方ない『源平合戦』

 1994年にパソコン用ゲームとして発売されたのが『源平合戦』だ。タイトル通り、平安時代末期から鎌倉時代の幕開けといえる「源平の戦い」を描いている。

 このゲームは日本史といえども『信長の野望』と違って、内政という概念がほとんどない。基本的には戦闘がメインとなっているのだが、とにかく金が必要で朝廷との外交も重要な要素となっている。

 戦闘システムは『信長の野望』と同じ感じで、それほどややこしくない。ただ、兵力の概念が少し異なり、官位によって自動的に割り当てられる兵力が違うのだ。官位が高いほど多くの兵士を持つことが可能で、能力が低かったとしても立派に敵勢力を撃破することが可能となる。

 清和源氏や桓武平氏、奥州藤原氏といった勢力ごとに使えるコマンドが違い、平氏は動員兵の訓練ができないのだが、その分朝廷との関係は深く、商業が可能なので金策は得意だった。

 一方の源氏は金策ができないものの、人材に優れて訓練も可能であり、少数精鋭に育てることができる。まさに史実通りの展開といえるな。

 さて、シナリオは4つあるが、なかでも源義仲や源義経を選択できるシナリオが面白かった。とくに4つ目のシナリオでもある「義経、兄頼朝と敵対す」は『項劉記』の四面楚歌と似ている。劣勢ながら、なんとしてでも義経で頼朝を撃破したいと思ったものだった。

 このゲームは面白いのだが、残念ながら家庭用に移植されていない。今のシステムでもう一度遊びたい作品のひとつだ。

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