漫画を読んでいると、同じ作者の過去作のキャラクターがチョイ役で出てくることがある。ずっとその作者の作品を追ってきたファンだからこそわかる、作者からのそうしたファンサービスに出会うとつい嬉しくなってしまうものだ。
今回は、少女漫画の本編に過去作のキャラが登場した、嬉しいクロスオーバーを紹介したい。
まずは、『りぼん』(集英社)で多くの人気漫画を生み出してきた矢沢あい氏の作品から。矢沢氏は作品内に、1つ前の作品のキャラクターをチョイ役で登場させることが多く、それを探すのがファンの楽しみにもなっている。
1991年から連載された『天使なんかじゃない』には、1989年から連載されていた『マリンブルーの風に抱かれて』のキャラが登場している。麻宮裕子と原田志乃が海岸を訪れたシーンで、『マリンブルーの風に抱かれて』の主人公・遥が犬とともに浜辺を通過するのだ。
ほんの少しだが、この他にも多くのキャラクターが友情出演しており、作品の世界線がつながっていることにワクワクしたファンも多いのではないだろうか。
次作『ご近所物語』のフリーマーケットのシーンには、『天使なんかじゃない』の翠とアキラが本編よりも未来の姿で登場した。主人公・幸田実果子が作った羽のついたリュックを見つけた翠が大はしゃぎ。「背おってみてもいいですか?」というセリフや大ゴマもあり、読者は彼女の姿にすぐにピンときたようだ。
今でも2人は仲がいいことが感じられ、ファンにとってはほっこりするシーンだった。
また、ファッション雑誌『Zipper』に連載されていた『Paradise Kiss』は『ご近所物語』と世界線がつながっており、『ご近所物語』の実果子がアパレルブランド「Happy Berry」のデザイナーとして再登場する。実果子の友人の子どもがメインキャラの1人として登場したり、実果子の妹・実和子がメインキャラの1人だったりと、それぞれ単品で楽しめるのはもちろん、2作とも知っている人にはさらに楽しめる作品となっている。