■『サラリーマン金太郎』矢島金太郎

 最後は本宮ひろ志氏による『サラリーマン金太郎』(集英社)より矢島金太郎。普通のサラリーマンとは違い理不尽な力に真正面から立ち向かう、日本のサラリーマンに力を与えてくれるキャラだ。

 そんな金太郎は持ち前の努力や根性と型破りという方法で、一介のサラリーマンが口を聞くことすら出来ない人物と出会い、仲を深めていく。大金持ち、政界に影響を持つフィクサー、ヤクザの親分と、会社の垣根を超えて仲良くなってしまうのは、金太郎に人間としての魅力があるからだろう。しかも強運の持ち主でもあり、たまたま出会って助けた人が大金持ちだったり、大会社の社長だったりもする。

 金太郎はそんな強キャラたちを味方に付けたことで、出世コースを歩むこともできただろうが、それをしないから同性までも惚れさせてしまうのだろう。金太郎が権力を振りかざし、金に溺れている姿など見たくはない。

 誰もが近寄りがたい強キャラが、なぜかこのキャラにだけは心を許してしまう、そんな場面は見ていてどこか面白い。強キャラも同じ人間なんだということを感じさせてくれる。

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