つい応援してしまう名シーンの宝庫!『湘南純愛組!』『今日から俺は!!』など名作ヤンキー漫画に欠かせない「ヘタレキャラ」が土壇場で見せる“漢気”の画像
『今日から俺は!!』コミックス第28巻(小学館)

 前後編2部作の映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』の後編が2023年6月30日より公開されているほか、2月からは原作:佐木飛朗斗氏・作画:所十三氏による漫画『疾風伝説 特攻の拓』の復刻版コミックスが毎月2冊ずつ発売されるなど、時代が令和になってもヤンキー漫画が熱い展開を見せている。

 ヤンキー漫画の醍醐味は、なんといっても最強の主人公や仲間たちが極悪非道の敵と対決するケンカバトルだが、そんな中にあって意外と欠かせないのが、すぐに逃げ腰になってしまう「ヘタレ」なキャラクターたちだ。どのヤンキー漫画にも必ずといっていいほど登場するキャラで、特徴としては背が低く、口だけ達者で力が弱い、度胸もなくいざケンカとなれば弱気になる、などが挙げられる。しかし、ヤンキーではないほとんどの読者にとっては、実はヘタレキャラこそが感情移入しやすい存在でもあり、彼らが意外な活躍をすることが、より感動を呼ぶスイッチにもなっている。

 そこで、今回はヤンキー漫画に登場する、予想もしなかった漢気を見せてストーリーを盛り上げたヘタレキャラを振り返っていきたい。

■助けられた恩に報いてひと皮むけた『ろくでなしBLUES』小太郎

 森田まさのり氏による『ろくでなしBLUES』(集英社)には、敵味方にかかわらず魅力的なキャラクターが多い。主人公・前田太尊の敵陣営である東京四天王の一角、鬼塚が率いる渋谷楽翠学園の小太郎もその1人だ。

 小太郎は、口は達者だが喧嘩は弱いヘタレキャラで、嫌々従っていた鬼塚への不満も平気で口にする。そして、そんな陰口を鬼塚に聞かれたことで絶体絶命のピンチに陥り、鬼塚から追われる身となり、太尊たちに助けてもらうことになった。

 そんな小太郎だが、太尊たちが必死に何度も自分を守る姿を見て、初めて自らの意志で鬼塚に反抗する。自分の高校に戻れないことを承知の上での行動で、「何としても太尊たちを助けたい!」という気持ちが伝わってきた。そこから徐々に小太郎の良さや味が出てきて、「顔立ちも若干カッコよくなってない?」と錯覚してしまうほどだった。

 最後は孤独になってしまった鬼塚に手を差し伸べるなど、漢気も十分に感じられた。小太郎がもし手を差し伸べなかったら、鬼塚は二度と立ち上がれなかっただろう。あのヘタレでどっちつかずの小太郎がここまでになるとは、と初登場時の姿からは想像できない変貌ぶりには驚かされた。

■パシリだった過去を捨てて見せた漢気『湘南純愛組!』走真

 藤沢とおる氏による『湘南純愛組!』(講談社)にも、ヘタレキャラが登場する。それが走真(はしり まこと)で、その名の通り、鬼爆コンビの2人・鬼塚英吉&弾間龍二と出会う前はパシリとして使われていたヤンキーだ。もともとは育ちのいいお坊ちゃんで高校デビューの真は鬼爆の友人として振る舞っていたが、そんな時に暴力事件で停学になっていた冴島と鎌田が復学することになる。

 冴島と鎌田は、自分たちが不在の間に有名になっていた英吉と龍二のことを快く思っているはずもなく、復帰早々に2人を狙った。真はというと、そんな冴島たちに怯える始末で、冴島に脅されて英吉を嵌めようとする。これには誰もが「やっぱりそうなるか……」と思ったはずだ。しかし、英吉がピンチになるとそれまでの弱さを悔いるかのように、真は自らを奮い立たせて冴島に牙を向く。それは、真の過去を振り返るとかなり勇気のある行動に思える。

 英吉も真のそんな漢気を感じてか、冴島を倒した後でも、真が裏切ったことなどまるで気にせず友人として扱ってくれた。これには真だけでなく、読者としても救われた気持ちになったものだ。

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