■パワーアップで意外に可愛い変身を…『獣王記』
1988年、メガドライブと同時に発売されたローンチタイトルの『獣王記』も、良作アクションゲームだった。アーケード版が同年6月に稼働したことを踏まえれば、当初から移植は前提だったのかもしれない。
主人公は人間の知性と獣の力、そして神の精神力を兼ね揃えた獣人族の戦士。かつては傲慢な性格だったことで主神ゼウスによって封じられるのだが、復活した魔神によって娘の女神アテナがさらわれてしまい、ゼウスは仕方なくこの獣人族の戦士の封印を解放し、魔神討伐を命じるというストーリーだ。
うん? なんか設定がおかしいような……。そもそも自分を封じたゼウスの言うことなんて聞く必要ないような? まあ再度封印されてはたまったものではないから、仕方なく「アテナを助けに行くとしよう……」のような、軽い気持ちだったのだろう。
さて、この戦士、通常は人間の姿をしているのだがなかなか強い。パンチとローキックで敵を撃破していくが、なぜかハイキックは使用しない。長年の眠りで足が上がらないのだろうか。
そして、特定の敵を倒してスピリットボールを手に入れるとパワーアップしていく。第一段階目は『北斗の拳』のケンシロウのように服が破れて肉体がたくましくなり、攻撃力が上がってリーチも長くなる「マッスルボディ」。さらにもう一段階上がると、ボディビルダーのような肉体に強化され、パンツ一枚になって攻撃力も上がる(「マキシマムボディ」)。
極めつけはもう最後のパワーアップ! パンツは破れはしないが「獣人」となり、強烈な攻撃力を見せてくれるのだ。
獣人化はステージごとに異なり、1面はパッケージと同じ“オオカミ”に、2面は全身が“ドラゴン”に変身するから驚きだ。
……となると、3面の獣人化にも期待するもの。順調にパワーアップしていき、さあ獣人化だ! と思ったらまさかの可愛い“クマ”……!? しかも、なにやら敵をナメたような動き方をしている。ゼウスに対する反抗なのかもしれないな。
ステージのボスを倒すごとにパワーアップはすべて解除されてしまうのだが、こういった変身シーンもこの作品が面白かった理由の一つだろう。
『メガドライブ』にはアーケードの人気ゲームが多数移植されたので、自宅で腕を磨き、再度ゲーセンに繰り出したもの。初期アクションゲームも良作が多くて楽しかった。「また遊びたい」と思わせてくれるゲームばかりだったものだ。メガドライブにはまだまだ面白いゲームがあるので、今後も紹介していきたいと思う。