テレビゲームで友だちと遊んで親しくなっていくというのは自然な流れに思える。しかし、ハメ技で理不尽に負けたり、運要素によって大逆転されてしまったときは、その人間関係が、ちょっと険悪になったりもする。対戦ゲームではありがちなことだろう。
6月21日に配信されたニンテンドーダイレクトで『人生ゲーム for Nintendo Switch』が10月6日に発売され、『桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!』が11月16日に発売されることが発表された。2つのボードゲーム作品がこの秋にリリースされるが、“友情破壊”がおこりがちなのはボードゲームにおいても同じ。
『桃太郎電鉄』シリーズでは、貧乏神やカードを使って逆転する要素が楽しかったが、邪魔されてイラッときた人も少なくないはず。自分の築いた資産を横取りされるとイラッとするのは、経済社会を営んできた人間の性なのかもしれない。
そこで今回はボードゲームが再び人気を集めている中、ファミコン時代に発売された名作をいくつか振り返りたいと思う。
■名作ボドゲ『いただきストリート ~私のお店によってって~』
『桃太郎電鉄』シリーズ以外の友情破壊系ゲームといえば、真っ先に思いつくのは『いたスト』こと『いただきストリート』シリーズだろうか。
1991年にエニックスから発売された『いただきストリート〜私のお店によってって〜』は、『ドラゴンクエスト』を手がけた堀井雄二氏がゲームデザインを務めたタイトル。すごろくの要領でボードマップを繰り返し周回し、その過程でマスを買って自分のものにしていくというゲームシステムだ。
買ったマスに他プレイヤーが止まると買い物料金を支払わせることができ、一定の金額を達成できたら勝ちというルール。世界的ボードゲームである『モノポリー』を、初心者や低年齢層向けにローカライズしたデザインで、株の売買など難しくなりがちな要素も分かりやすく楽しめた。
しかしその本質は、やはり“資産争い”に他ならず、駆け引きや運要素がメインとなってくる。じわじわと資産を削り取られたり、かと思えば突然の理不尽な逆転があったりと、対戦アクションやレースゲーム以上にエキサイティングしてしまうゲーム性なのだ。高額ショップが立ち並ぶゾーンに入ってしまったときなどは、針のむしろに座らされた気分になる。
ゲームの駆け引きはリアルの信頼関係によって成り立っている部分も多いので、展開によってはなかなかにドロドロなプレイが体験できることだろう。
■シンプルながらも王道『鉄道王』
『桃太郎電鉄』より以前に、1987年にデービーソフトから鉄道系ボードゲーム『鉄道王』が発売されている。同作はすごろく式に自キャラを進めていき、線路を買っていくというゲームシステムだが、こちらもなかなかの友情破壊作品だ。
他人が所有する線路を通過する場合には、通行量が必要となり、資産の多い人が優勝となる。『桃太郎電鉄』というより、『モノポリー』や『いただきストリート』に近いゲーム性。発売年が古いだけに、後発のゲームと比べるとシンプルではあるが、駆け引きや運要素はむしろ過激な部類だろう。
大幅に引き離しても逆転劇が起こることは少なくなく、エキサイティングな友情破壊が起こること請け合いである。