■当時としては画期的なゲームシステムで対戦に燃えた『ボクシング』
最後は、1990年5月にトンキンハウスから発売された『ボクシング』だ。1人用でも十分面白いのだが、通信対戦になると楽しさは倍増したものだ。
当時、史上最強だったボクシング世界ヘビー級王者のマイク・タイソンが2月に東京ドームで挑戦者のジェームス・ダグラスに敗れ、衝撃を受けたものだ。子どもながらにどれほどのお金が動いたのだろうと興味津々だったな……。
ちなみにこのゲームにはタイソンがモデルと思われるマイタイソンというキャラクターが登場している。ほかにも映画の『ロッキー』から名付けたと思われるロッキースターや『あしたのジョー』の矢吹丈をもじったイブキジョーなど、親しみやすい名前がつけられたボクサーがたくさんいた。
ゲーム画面は最初2D画面で始まり、両者が接近すると3D画面に移行してパンチの応酬となっていく。これがまたよくできており、ABボタンと十字キーの組み合わせで左右のジャブとフックやアッパー、ボディブローを使い分けることができる。
もちろん、ガードやスウェー、ダッキングもできるので、結構本格的なボクシングゲームといえた。さらに、パンチメーターと連動しているクリーンヒットやガード無効の必殺パンチもあり、必死にボタン連打をするのに肩に力が入った。とにかく当時としてはかなり完成度が高く、画期的なソフトだった。
そして、通信対戦には本当に燃えたものだ。通常のゲーム画面だと互いが同じ視点になるので片方がやりづらいものになるが、通信対戦はそれぞれが自分の視点で戦えるので、ゲームボーイの魅力を十分に感じられる内容だったと思う。
さて、『ゲームボーイ』はファミコンとは違った遊び方で楽しめたものだ。外で遊べる点も大きく、モノクロ画面だが“外で遊べるファミコン”として認識されていただろう。
とくに友達同士がお互いの視点で画面を見ることができる通信対戦は非常に魅力的であり、ファミコンやスーパーファミコンでも味わえないものだった。