■『ジョジョの奇妙な冒険』杜王町の説明に使われた『旅行するなら日本のここベスト100』

 次に紹介するのが、荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』だ。本作は、1986年から連載が開始され、現在は第9部となる『The JOJOLands』が『ウルトラジャンプ』(集英社)で連載中である。

 本作で民明書房が登場するのは、東方仗助が主人公を務める第4部『ダイヤモンドは砕けない』でのこと。第4部の舞台となる杜王町についての説明があるのだが、ここで『旅行するなら日本のここベスト100』という民明書房の書籍(旅行雑誌)の一部が登場する。

 杜王町の地図とともに、“住民の特徴”がいくつか挙げられており、「危機一髪で助かった時すぐ『日ごろの行いがよかったから、わたし』という」、「30歳以上の人は『イワシの頭も信心ね』とつぶやく」など住民の口癖をはじめ、“旅行者へは冷たいが仲よくなると本当にいい人ばかり”など、詳しく紹介がされている。

 妙な具体性とユーモアを交えている点が絶妙で、こういった旅行雑誌は現実にもありそうなのが面白い。ちなみに値段は1500円(税込み)とのことだ。

■『まじかる☆タルるートくん』ボクシング対決に登場した『からだのふしぎ』

 最後に紹介するのが、1988年から連載された、江川達也氏による魔法を題材にしたギャグ漫画『まじかる☆タルるートくん』だ。当時、アニメ化もされ、小学生を中心に人気を博した作品である。

 民明書房は、主人公・江戸城本丸と、ライバル・原子力のボクシング対決の際に登場する。

 作中、本丸の何気ない普通のパンチがたまたま原子力の肘に当たり、バリバリと電流が走る。これを「本丸発電パンチ」と名付けてシュールに解説しているシーンなのだが、ここで登場するのが民明書房の子どもなぜなにシリーズ『からだのふしぎ』という書籍だ。

 オーバーリアクションのキャラクターたちに対して、「ここ(肘)を強くうつと ビリッとくるぞ みんなもやってみよう」と、子ども向けに簡単な注釈もされており、対照的でユニークだ。実際に試してみた子どももいたかもしれない。

 

 今回は、『週刊少年ジャンプ』の作品に登場した「民明書房」ネタを3つ紹介した。

 実は『魁!男塾』宮下氏本人も、『天より高く』という別の作品で民明書房の社長を登場させ、倒産寸前の書房を立て直すというスピンオフ的な作品も書いていたりもする。

「民明書房」ネタは、『魁!男塾』発の架空の出版社をほかの漫画にも登場させるというものだ。遊び心と同時に、漫画家たちがリスペクトし合っている様子を感じることができ、嬉しくなってしまった読者も多いのではないだろうか。

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