あなたは「民明書房」という出版社をご存じだろうか? 民明書房とは、1985年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されていた『魁!!男塾』に登場する架空の出版社なのだが、本作と作者・宮下あきら氏へのリスペクトも込めて、ほかの漫画作品でも「民明書房」はたびたび登場している。そこで今回は、ジャンプの他作家の作品に登場した「民明書房」ネタを紹介していく。
■『魁!!男塾』に登場する民明書房
『魁!!男塾』は、80〜90年代の「ジャンプ黄金期」を支えた伝説的漫画だ。劇画タッチの作画や激しいバトルが魅力なのだが、本作のバトルシーンはかなりぶっ飛んでおり、キャラクターたちはオリジナリティあふれる戦い方をしたり、ときには生き返ったりもする。そして、本作における「民明書房」は、作中に登場する武術や拳法などの解説の“引用元”として登場するのだ。
創業年や創業者にいたるまで細かい設定がされているものの、民明書房はあくまで架空の出版社であり、出版されている書籍ももちろん実際には存在しない。
民明書房の解説は大変面白く、不思議な説得力と魅力を持っていた。今となっては漫画関係者やファンの間で「民明書房=架空のもの」というのは周知の事実なのだが、『魁!!男塾』の連載当時は書店や図書館などで“民明書房書籍についての問い合わせ”も少なくなかったという。
■『HUNTER×HUNTER』ディーゴが読む『人といふもの』
さて、そんな民明書房が登場する作品たちを紹介していこう。
まずは、冨樫義博氏による『HUNTER×HUNTER』。1998年より連載がはじまり、何度か冨樫氏の体調などによる休載を挟みつつ、現在でも連載が続いているジャンプを代表する人気漫画である。
作中でも人気の高いキメラ=アント編で民明書房は登場する。本編の舞台となり、最終的に滅んでしまう東ゴルトー共和国の総帥・ディーゴが、エピローグで揺り椅子に座って読んでいるのが、菊池正央による『人といふもの』という民明書房の書籍だ。
“命など 陽と地と詩とで満たされるほどのものなのに”と、書籍から一部抜粋した詩とともに描かれているディーゴ。この詩と自分の数奇な人生を重ね合わせているのだろうか?と、つい思いを巡らせてしまう。
『HUNTER×HUNTER』でも屈指の、印象的なシーンとなっていた。