■宝刀・村雨が登場する作品たち
また『南総里見八犬伝』の主人公の犬塚信乃の持つ宝刀・村雨(村雨丸)が登場する作品も多い。
萩原一至氏による『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』では四天王のニンジャマスター・ガラが使用する刀の武器が「ムラサメ・ブレード」という名前。さらに、原作:タカヒロ氏、作画:田代哲也氏による『アカメが斬る!』では主人公の1人であるアカメが使用する武器が「一斬必殺村雨」という名前である。
なお、村雨は『南総里見八犬伝』の中では、振るうと刀身から水気が立ち上ると語られる刀である。人気漫画『鬼滅の刃』で主人公の竈門炭治郎が当初使っていた「水の呼吸」の技も、まさしく村雨に通ずるところがあるのではないか。
いずれの作品も、作者が『南総里見八犬伝』を意識したものであるにしろそうでないにしろ、現在に至るまで江戸時代からずっと似たような設定が愛されているという点では、曲亭馬琴のスゴさを感じずにはいられない。
あらためて見てみると『南総里見八犬伝』をモチーフにした作品の多さと、時代を経ても色あせない少年漫画的な冒険ファンタジーの完成度の高さに驚かされる。