ファミコンソフト『北斗の拳』を振り返る! 150万本ヒットも“賛否両論”のなぜ?の画像
ファミコン用ソフト『北斗の拳』

 1986年8月に東映動画(現:東映アニメーション)から発売されたのがファミコン版『北斗の拳』だ。累計150万本を超えるスーパーヒットとなり、その後もシリーズ化されている。

 主人公のケンシロウを操作し、ザコキャラを倒しながら各ステージのボスを倒す横スクロールアクションゲームだ。このゲームはヒットしたものの、実は賛否両論分かれる内容だったことでも知られている。

 そこでファミコン版『北斗の拳』を振り返ってみよう。

■ハートとジャギがボスキャラに! ザコキャラを軽く蹴り飛ばす爽快感

 まずは、良かった点を挙げてみよう。

 ケンシロウは最初から強く、序盤のザコキャラ程度なら軽く撃破できる。蹴り飛ばすだけでなく、赤いザコキャラをパンチで撃破すると「あべし」の文字が浮き上がり、これを取ると星が増えてケンシロウがパワーアップする。

 今さらケンシロウにパワーアップもないのだが、そこはゲームだけに仕方ない。上中下とコンビネーションの連続蹴りやパンチ、ジャンプ力が倍、歩く速度のアップなどがあり、星を7つゲットすれば上着が破れて上半身が裸になるのだ。

 星が7つというのは「北斗七星」を連想しており、最終ボスとなるラオウとの対決では闘気(原作でいうところのオーラ)をまとって戦える。

 ザコキャラを軽く撃破していくのは、爽快感があって楽しかった。ステージ1のボスには、まさかのハートが登場する。現在でも人気キャラの一人でもあるハートだが、コイツにキックの連打を浴びせてお腹の肉を取り除いたのちにパンチを繰り出すと、「北斗柔破斬」と原作同様の技名が表示されるからカッコいい。

 そしてステージ3ではジャギが登場する。コイツも残酷な敵キャラながら人気が高い。決め技はジャンプキックとパンチが必要となるのだが、ちょっと難しい。それでも決まると奥義「醒鋭孔」が炸裂する。

 原作でのケンシロウによると「醒鋭孔」は、「今きさまの体はむきだしにされた痛感神経で包まれている!!」と、恐怖の状態。指で触れただけで全身に激痛が走るというのだから、絶対に食らいたくない。このシーンだけは、さすがにジャギがかわいそうと思ってしまったものだ。それにしてもこの奥義「醒鋭孔」を必殺技に挙げているあたりが素晴らしいといえる。

■ちょっと見づらい背景にウザいほどの敵キャラの飛び道具、うるさすぎる「あべし」

 さて、今度は少し残念だった点を見てみよう。まずは、グラフィックに関して。当時を考えても全体的に荒いと評されることが多いようだが、とくに序盤の廃墟に入ったあたりではケンシロウのズボンと背景がかぶってしまい、ちょっと見づらかった。

 そして中盤くらいになると、敵キャラが飛び道具に頼り過ぎるところが面倒だった。ほとんど全員が、何らしかの武器をぶん投げてくる。しかし、ケンシロウは素手で戦うのみ……。さすがは北斗神拳伝承者といったところか。

 星を2つ取ると「二指真空把」を使えるようになるのだが、そもそも飛んでくる武器を正面からパンチかキックで打ち返すだけ。いや、それなら普通にジャンプするか、しゃがんでかわすほうが間違いないだろう。

 さらにザコキャラをパンチで倒しまくると、常に「あべし」が繰り返されてちょっとうるさかった。毎回破裂する敵に対し、ケンシロウも血まみれになっていそうなのだが……。

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