■最強は500円玉! 指先一つで10円玉を弾き飛ばす「10円指弾き?」
ならばこれはどうだ。机一杯が舞台となった「10円玉指弾き」を思い出す。「10円サッカー」とも言われていたようだが、おそらく正式な名前はないだろう。
お金で遊ぶんじゃない!と、小学生時代は学校で禁止となったが、この遊びは中学生になってもやっていた。なかにはお金を賭ける愚か者たちもいて、教師に烈火のごとく叱られていたな。
ルールは単純で、机の両端にプレイヤーの硬貨(ほとんど10円硬貨)を置き、人差し指で弾いて滑らし、相手の硬貨を机から落とすと勝利となる。1円玉がもっとも弱く、重量のある500円玉が最強だった。ちなみに1円玉では500円玉を弾くことができないので、自ら吹き飛ばされていた。
筆者の小学生低学年時代はまだ岩倉具視の500円紙幣が普通に流通していたので、500円硬貨がかなりレアで羨ましかったな。
次女がテーブルに10円硬貨を置き、指で弾く。これは面白そうにしている。ただ、確かにお金で遊んではいけないことを教えてあげたほうが良いな。今とは時代が違うのだ。
すると「おかねであそんじゃダメだよね」と、ボソッと次女が言い放った。……何も言えねえぜ。
■関西は「べったん」やで! いっぱい集めて勝負に燃えた「牛乳キャップめんこ」
「なんやコレ?」次女が不思議そうにビニール袋を取り出す。その中には、今ではすっかり見かけなくなった牛乳キャップが盛りだくさん入っていた。
「これは牛乳瓶のフタだよ」と教えたものの、まず牛乳瓶が分からない。今は紙パックが主流なのだろう。古びた牛乳キャップがぎっしりと入った袋……それを郷愁に浸った遠い目で見つめている父親の姿は、令和の小1にどう映っているのだろう。
まあいい、説明よりも先にやってみれば面白いのが分かる。
数枚取り出した牛乳キャップをテーブルに表向きで置いて、筆者が一枚を持って叩きつける。そうすると風圧で2枚のキャップがひっくり返った。「うわ!」次女も思わず声を挙げる。これで2枚ゲットだ。
「ワタシもやりたい!」と言ってきたので1枚渡すと、勢いがないのでひっくり返らない。「端を狙うといいよ」と、アドバイスを与える。若干だがキャップの端が丸みを帯びているので、そこを狙うと裏返りやすいのだ。当時は専用のピンを中央に差し込んでキャップを外していたな。ちなみに指で外そうとすると、端側が完全にめくれ上がってしまうから強度的にもNGだ。
そういえば、なぜか一般の牛乳よりもコーヒー牛乳のほうが強いという噂があったな。『牛乳キャップめんこ』という地域もあるようだが、筆者の地元関西では「べったん」と呼んでいた。
ふと次女を見ると「もういいや」と飽きてしまっていた。昭和の遊びは令和の娘には興味を持ってもらえなかった。「ショウワってなに?」ふと次女が疑問に思ったらしい。そういえば、昭和ってどうやって説明するのだろう。「元号」といっても理解できないだろうし……。う〜む、小学校の先生って凄いものだ。
さて昭和の遊びを紹介してみたが、いかがだったであろうか。世代によってはほかにも懐かしい遊びがあるだろう。令和の小学生には通じないと思ったのだが、よくよく考えると男女で遊びのジャンルが違うもの。今回紹介したのはほとんど男子の遊びだったような気がするから、次女も飽きてしまったのかもしれない。