母の面影を追い求め… 想像できないような“壮絶な幼少期”を過ごしたキャラ3選の画像
『鬼滅の刃』第6巻 [DVD](アニプレックス)

 漫画のなかには、ときに「どうしてこんなに性格が悪いんだ?」と思ってしまうキャラクターが出てくる。しかしそのなかには、壮絶な生い立ちや複雑な境遇からそうならざるを得なかった者も。裏に隠された事情を知ると、単に嫌なやつだと思っていたキャラに対する印象も変わるというものである。

 そこで今回は、そんな想像を絶する幼少期を送ってきたインパクトのあるキャラを3名紹介しよう。

■共同体から認められない絶望… 『幽☆遊☆白書』飛影

 冨樫義博氏の『幽☆遊☆白書』で、主人公・浦飯幽助と並ぶ人気キャラとして知られている飛影。後半こそ信用できる仲間という立ち位置になったが、登場当初は彼の憎まれ口や挑発的な口調にイライラした人も多かったのではないだろうか。

 そんな飛影の生い立ちは壮絶である。彼はもともと“氷女”という妖怪の一族の出身であり、氷菜という母親から双子の妹・雪菜とともに生まれた。

 しかし、氷女一族には女性しかいない。限りなく長い寿命を持つ一族の女たちは、100年ごとの分裂期に自分ひとりの力で子を産むのだが、その子も必ず女児だと決まっているのだ。男児が生まれたということは、母親が“男と関係を持つ”という禁忌をおかした証拠である。

 そのため飛影は一族から“忌み子”として扱われ、呪符で包まれたうえで魔界の森に投げ捨てられた。その後、盗賊に拾われた彼は、氷女一族への復讐心を糧に強くなっていく。

 しかし飛影は世間に対し深い憎しみを持ちつつ、生き別れた双子の妹への愛情も見せていた。そしてたとえ生まれた環境が劣悪であっても、母親が残してくれた“氷泪石”という愛情の証拠や、戦いのなかで見出した経験により、過酷な環境をクールに乗り越えていく。戦いを通して偏見に立ち向かう姿を我々に見せてくれるキャラクターだ。

■人間の残酷さと優しさを背負って成長した『鬼滅の刃』伊之助

 “猪突猛進”がキャッチフレーズの嘴平伊之助は、吾峠呼世晴氏の『鬼滅の刃』のなかでもとくに荒々しい存在だろう。常にイノシシの毛皮をかぶり、上半身を露出して全力で戦う姿には、ときにゾッとさせられる。

 そんな伊之助は力のない少女を足蹴にしたり、埋葬について「生き物の死骸なんて埋めて何の意味がある」と吐き捨てたりと、非情に見える一面を覗かせることもあった。しかしその性格は、動物によって育てられた背景があったからかもしれない。

 伊之助はとある理由から乳児期に母親に捨てられてしまい、その後、彼を見つけたメスのイノシシに育てられた。イノシシが彼を育てた理由は明確ではないものの、自分の本当の子を亡くしたためではないかと推測されている。

 イノシシに育てられた伊之助は当然、言葉を知らなかった。しかし幼児期に人間の民家にしのびこみ、そこで出会った老人とその孫から言語を教わる機会に恵まれる。少々認知症のような症状を見せていた老人だが、その影響もあってか伊之助を本当の孫のように可愛がり、百人一首などを通して言葉を教えてくれたのであった。

 人間の母親に捨てられ、イノシシに拾われて命をつないだ伊之助。その後は優しい老人との出会いや仲間の存在により、徐々に人間らしい考えや社会性を学んでいくのだ。

 先日、アニメでは「刀鍛冶の里編」が終わったばかりの本作だが、その後のエピソードである「柱稽古編」のアニメ化放送が決定され、ますます盛り上がりを見せている。

 今後の展開についても目が離せないが、原作では伊之助と母親との過去のエピソードについても触れている部分がある。すべてを知った伊之助がどんな変化を見せていくのか、ぜひ、本編で確かめてみてほしい。

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