■レトロな雰囲気と無骨なロボットの協奏曲『THE ビッグオー』

 最後に紹介したいのが、『THE ビッグオー』だ。

 1999年~2000年に第1期、間を挟んで2003年に第2期が放映されたロボットアニメで、記憶喪失の街「パラダイムシティ」を舞台に、凄腕ネゴシエイターの主人公ロジャー・スミスが搭乗する「メガデウス」と呼ばれる巨大ロボット「ビッグオー」の活躍を描くストーリーだ。

 注目したいのが、ビッグオーをはじめとするメガデウスの重厚なビジュアルと無骨なアクションの数々。ビッグオーの全身に重火器や光学兵器を搭載した圧倒的な火力を用いて戦う姿には、力には力で対抗する姿勢を見せるロジャーのスタイルも相まって、心惹かれた人が少なくないだろう。

 特に、肘に内蔵されたシリンダー「ストライク・パイル」でパンチと同時に圧縮空気を打ち込む「サドン・インパクト」は、メガデウスの強固な装甲を貫通したり、落下した人工衛星を迎撃破壊したりしてしまうほどのロマンあふれる必殺技。使用後に排熱するシーンがその威力のすさまじさを物語っており、その余韻まで含めて格別と言える。

『THE ビッグオー』は1960~70年代の特撮やロボットアニメにインスパイアされたシックでハードボイルドな世界観が貫かれており、日本のみならず海外でも高い評価を受けた作品だが、それは、日本のスーパーロボットが持つ「男のロマン」の魅力が万国共通で観る者の心に響くものであるということの証明だと言えるかもしれない。

 

 ロボットアニメ(『サクラ大戦』はゲームだが)の神演出、「必殺技や武器使用後の放熱・排熱シーン」が印象的な3作品を紹介した。作中での必殺技・武器の設定にリアリティを持たせたり、使用後に余韻を残す決めカットとしての役割があったりと、作品によってもバリエーションがあることがわかるだろう。いずれにせよ、そういった演出の数々によってロボットアニメのバトルシーンがより「熱い」ものになっていることは間違いない。これからロボットアニメを観るときには「放熱・排熱」シーンにも注目してみてほしい。

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