■ギャグ満載シーンに笑い「ろっかくーん!!」に燃えた
『桃太郎伝説』はギャグ満載ということもあって、オープニングからクスっと笑えるシーンが多かった。
登場するおじいさんは山へ柴刈りに行き、おばあさんは川へ洗濯しに行く。これは昔話同様だったが、ここでまさかの洗濯機が登場! なぜか木にコンセントがつないである。しかも、川の水を汲み上げているのでまさにエコだ! これには、おばあさんもご満悦だろう……。
さて、6歳になった桃太郎が鬼ヶ島へ旅立つシーンでは、なんとおじいさんはケーキを食べようとしていた。戸口には野球のバットとボールがあるし……。たくましく育ったのだろうな、桃太郎よ。
これらは、さくまあきらさんの秀逸なセンスの賜物であろう。ゲームをしていて要所で笑わせてもらえるのが、なんとも楽しかった。本来、ゲームとはこういうものなのだろう。
このゲームには三年寝太郎やかぐや姫、乙姫など、おとぎ話の定番キャラクターが登場し、それぞれ可愛らしいキャラクターでゲームの世界観ともマッチしている。
それにしても、コミカルな演出もありつつ、RPGとしてもしっかりとした作りであることが、今考えても驚きだ。
攻撃はなんといっても「かいしんのいちげき」を放てる「ろっかくのじゅつ」だ。「かいしんのいちげき」ってまんま『ドラクエ』なのだが、もともと『ドラクエ』を意識して制作されたうえ、ゲームデザイナー・堀井雄二さんとさくまあきらさんは大学時代からの友人同士であるというから、おそらく問題ないのだろう。
この「ろっかくのじゅつ」をつかうときには、桃太郎が「ろっかくーん!!」と唱えながら放つ。これは当時クラスでも流行ったものだ。ドッジボールで「ろっかくーん!!」と言いながら投げ合いしたなあ。
さて、素晴らしいファミコンRPG『桃太郎伝説』を紹介した。『ドラクエ2』が発売されたあとだったためパーティーバトルかと思いきや、敵は一体のみ。ところが、イヌ・キジ・サルはAIで攻撃参加できるものだから、画期的ともいえよう。
いや、懐かしいものだ。あの頃に戻りたいと常々思ってしまうぞ。