■橘英雄と国見比呂に劣らない才能が登場! 『H2』の明和第一対栄京学園
最後はあだち充氏による『H2』での東京秋季地区大会決勝で行われた、明和第一対対栄京学園の試合だ。
優勝候補の橘英雄率いる明和第一に対し、栄京学園の左腕エース広田勝利。追い込んでから左手で帽子のつばを触った後に左腕を上げる。この一連の流れから三振を取るという仕草が予告三振として注目を集める広田。
橘の第一打席は予告三振が実現した。そして第二打席……。わざと追い込ませる橘と帽子を触ったあとで、左腕を上げなかった広田。観戦していた国見比呂も広田が逃げたと思ったようだが、なんとまさかのデッドボールを繰り出す! 一見動揺した雰囲気を見せるも、故意にぶつけたのは間違いない……。
そう、序盤の広田は才能がありながらもとんでもない悪役キャラだった。橘は次の打席でソロホームランを放つのだが、広田はもう一度死球を与えかねない発言をしていた。いや、怖すぎるって!
両チームともレベルが高く、試合はこの1点を守った明和第一が優勝となった。ただ、橘は左肘を骨折していることが判明し、この事実は広田のプライドにも多少影響した感じがしたな。
広田は、悪役の登場が少ないあだち作品のなかでも目立つ存在だった。この作品の主役ともいえる比呂と橘に劣らない才能を持っていると評価されていたが、真摯に野球へ取り組んでいればどんな選手になっていたのだろうか。
さて、主人公のライバルチーム同士の一戦はなんとも面白いものだ。新しいキャラが登場するたびに主人公が試練に立たされるものだが、それが余計にワクワクさせてくれたものだったな。