1979年のアニメ『機動戦士ガンダム』の放送以降、現在までさまざまなシリーズが作られてきたガンダムシリーズ。歴代シリーズの主役機の中には、ハイパー・バズーカやガンダム・ハンマー、ビーム・ジャベリンなど、状況に応じて武器を切り替える機体もあり、新しい武装が登場するたびにワクワクしてしまうもの。
作中では、作画の都合かこれらの武装を全部装備することは無かったが、後の作品には装備できる武装“全部盛り”のモビルスーツもいくつか登場した。今回はそんな、全国の子どもたちのロマンに応えてくれた「全部盛りガンダム」をいくつか紹介したい。
■誰もが夢見たパーフェクトストライクガンダムは実は微妙?
全部盛りのモビルスーツと聞いて『機動戦士ガンダム SEED』のストライクガンダムを思い出す人は多いのではないだろうか。このモビルスーツは機動力に優れた「エールストライク」、遠距離狙撃の「ランチャーストライク」、近接の破壊力に特化した「ソードストライク」の3つ形態を状況に応じて使い分ける夢のガンダム。
基本的にアークエンジェルのモビルスーツは中盤まではストライクほぼ1機のため、汎用性の高いエールストライクが多用されていた。だが、そのエールストライクの機動力をそのままに、ソードとランチャーの武装を搭載したら最強なはず。そういったファンの夢に応えるように登場したのが「パーフェクトストライクガンダム」だった。
中盤以降ストライクガンダムに搭乗したムウ・ラ・フラガが使った形態で、文字通り全ての武装を搭載した理論上最強のストライク……なのだが、実はあまり活躍していないのは悲しいところ。そもそも出番自体が少なく、HDリマスター版PHASE-38&39でしか戦っていない。
一応、ランチャーの主兵装アグニでストライクダガー3機を薙ぎ払い、大型対艦刀シュベルトゲベールでカラミティガンダムを攻撃。机上の主張通り、強力な射撃と近接攻撃を繰り出したのだが、それ以降の出番はなし。
パーフェクトストライク自体はキラ搭乗時から実現可能な形態だったが、バンダイのプラモデル「HG パーフェクトストライクガンダム」の説明書にも「彼は一見しただけで、種類の増えた武装の効率的な運用が難しいこと、装備重量の増加による機動性の低下を見抜いていた」と、キラがそういった点で使用を嫌がったことが書かれている。ムウに引き継がれてから初の実戦投入だったが、ムウもキラ同様に弱点に気が付いたのかもしれない。確かに、常に数で劣るアークエンジェルたちにとって、機動力も低く消費エネルギーの高さからくるスタミナの無さは致命的。何でもかんでも詰め込めばよい、というわけではないことを体現してしまったガンダムといえるかもしれない。