ファミコンソフトといえばゲームの内容はもちろんのこと、作品の雰囲気が一目で分かる“パッケージイラスト”も見どころの一つだ。なかにはどこか色っぽい“大人の雰囲気”を醸し出すパッケージもあり、親に買ってもらいづらかった経験を持つ人も少なくないのではないだろうか。そこで、当時の子どもたちが思わずドギマギしてしまった印象的なパッケージのファミコンソフトについて見ていこう。
■ピンクの背景にビキニ姿は刺激が強すぎる? 『アテナ』
1986年にSNKによりアーケード版が生み出され、1987年にファミコンソフトとして移植されたアクションゲームこそ、SNKにとって80年代を代表する一作となった『アテナ』である。
プレイヤーはビクトリー王国の王女・アテナ姫を操作し、攻撃やジャンプといった基本動作に加え、さまざまな武器やアイテムを駆使してステージ突破を目指していく。
明るくポップに描かれたファンタジーテイストな世界観がプレイヤーにうけ、グラフィックも当時にしては非常にハイクオリティだった。また、豊富なアイテムやアクションの種類から、組み合わせによってステージの攻略方法ががらりと変わるのも大きな特徴で、思わず何度もプレイしたくなるような“やり込み要素”も魅力の一作だ。
そんな本作のパッケージには、主人公・アテナ姫のイラストが描かれているのだが、これが子どもにとってはちょっと刺激的……。なんせ、ピンク一色を背景に立つアテナ姫は、なんと赤いビキニで剣と盾を持つという、インパクト大な姿なのである。
実は、この露出度の高さはきちんとしたワケがあったという。ゲームの性質上、装備を手に入れて強くなっていく過程を分かりやすく実感させるため、あえて主人公を軽装にしたそうだ。
さらに、アテナ姫はのちに同社から発売される『KOFシリーズ』の人気キャラクター・麻宮アテナの“先祖”であるという公式設定もあったりするから面白い。
色気たっぷりなパッケージイラストだけでなく、のちに続いていく人気作品にしっかりとそのテイストが活かされ続けている、“原点”ともなった記念すべき一作だ。
■“タイタニック”の謎にいち早く目を付けた意欲作…『タイタニックミステリー 蒼の戦慄』
かつて世界最大規模の客船として注目を浴び、氷山にぶつかったことで海の底へと沈んでしまった“タイタニック号”。日本ではまだマイナーだったこの沈没事件を題材としたアドベンチャーゲームこそ、1987年に学研から発売された『タイタニックミステリー 蒼の戦慄』だ。
海面下4000mの深海に沈んだ“タイタニック号”の謎を解き明かすため、プレイヤーはさまざまな登場人物たちの力を駆使し、調査をしていくこととなる。
本作の最大の特徴は、ダイバーを操作して海底を操作するパートとは別に、スポンサーとの電話や記者会見といった手段を利用し、調査の資金繰りを行うパートが存在するということだ。ゲーム内部には時間、そして資金の概念があり、海底での調査内容を利用してうまく資金を手に入れ、調査を続行していく必要がある。
ゲームバランスはなかなかにシビアで、資金が尽きたり、ダイバーが死んだり、期日までに引き上げが不可能だった場合、ゲームオーバーとなってしまう。
そんな本作のパッケージは、海に沈んでいくタイタニック号をバックに海底調査の肝となる美人女性ダイバーの姿がアニメ調で描かれている。
どちらかというと近未来感溢れるデザインで、女性が身につけているダイバースーツはかなり露出が多く、レオタードのようなデザインはかなり色っぽい。
ちなみに、ゲーム中にもこの女性ダイバーのグラフィックはしっかりと反映されており、骨太なゲーム内容のみならず、スタッフたちの“気合い”が感じ取れる。海底に眠る“謎”を求め潜っていく美しいダイバーと、沈んでいくタイタニック号の対比がなんとも印象的な一作だ。