■アニメ版では声優ネタも欠かさない!? 『ケロロ軍曹』北城睦実(サブロー)

 1999年より『月刊少年エース』(角川書店)にて連載されている吉崎観音さんの『ケロロ軍曹』は、カエルそっくりの宇宙人・ケロロらと地球人の面々が織り成すドタバタ劇をメインとしたSFギャグ漫画だ。

 数々の漫画、アニメのパロディも売りとなっている本作で、原作漫画からアニメ化にあたって大きく出番が増えたキャラクターこそ、謎多き高校生として活躍していた少年・北城睦実である。

 銀色の髪と瞳、帽子がトレードマークで、ケロロらの仲間であるクルルのパートナーとして登場した。

 クルルがそうであるように、睦実もかなり“ミステリアス”な存在として作中では描かれている。実は高校生でありながらイラストライター、ポエマー、ラジオのパーソナリティなどいくつもの裏の顔を持ち、運動神経抜群かつIQは350という、どこか人間離れしたスペックを持っている。

 その特殊な経歴から原作では孤立する場面も多かった彼だが、アニメ版になるとその背景設定が大幅に改変されることとなった。

 アニメ版では名前を“サブロー”に変更され、主要キャラクターの一人・夏美の一つ上の学年であることから“サブロー先輩”と慕われている。原作と比べると主人公の日向姉弟との距離も近くなり、頻繁にエピソードに登場するメインキャラの一人へと昇格した。

 相棒であるクルルとの絡みも多くなっただけでなく、アニメ版では声優が石田彰さんであることや、容姿が似ている(おそらく意図して似せている?)ことから『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターの一人・渚カヲルを彷彿とさせるパロディネタを披露していたりもする。

 エピソードとしても、そしてギャグのネタとしても、原作漫画から大きく飛躍したキャラクターといえるだろう。

 

 アニメ化や実写化となると、原作の再現度はもちろんのこと、原作とは異なる“オリジナル要素”もファンにとっては見どころの一つだろう。各キャラクターが原作とメディア作品でどのような変更があったのか……そういった細かな設定の違いに目を向けてみるのも、作品の“通”な楽しみ方の一つかもしれない。

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