■清純派アイドルが二重人格…!? 『ヤヌスの鏡』杉浦幸
1981年から『週刊セブンティーン』で連載された宮脇明子さんによる『ヤヌスの鏡』は、気弱でおとなしい少女・小沢裕美が、複雑な出生の秘密や、祖母による厳しい躾によって別人格である“ユミ”を作り出してしまう物語だ。
ユミがさまざまな事件を巻き起こしていくサスペンス作品として人気を博した本作は、1985年12月に実写ドラマ化された。本ドラマで主演を務めたのが、1985年4月に芸能界デビューを果たしたばかりだったアイドルの杉浦幸さんだ。
西村知美さんや島田奈美さんらとともに「桃組三人娘」と呼ばれ、たくさんのファンに愛されていた杉浦さん。本作ではおしとやかな裕美と、自由奔放で悪魔のようなユミを見事に演じ分けていた。
女優デビューを華々しく飾った杉浦さんは、その後一躍トップスターの仲間入りを果たし、翌年にはアイドル歌手デビュー、ドラマ『このこ誰の子?』では主演に抜擢されるなど、デビューからトントン拍子でブレイクしていく。
今でも杉浦さんの代表作として、『ヤヌスの鏡』を挙げる人も多く、清純派アイドルとして人気になった彼女の“少し悪い顔”を見ることができる貴重な作品となっていた。
漫画原作の実写ドラマに出演していた人気アイドルたち。なかにはデビューまもなく主演に抜擢されたり、作品への出演をきっかけにブレイクを果たすなど当時のアイドルたちにとってこれらの作品への出演は、重要な分岐点だったのかもしれない。
彼女たちの今を知る現在、これらの作品をあらためて見返してみると、また新しい視点で楽しむことができるのではないだろうか。