■『超速パラヒーロー ガンディーン』水野美紀
最後は2021年6月からNHK総合で放送されたテレビドラマ『超速パラヒーロー ガンディーン』から。車いす陸上選手を目指す男子高校生がヒーローの「ガンディーン」に変身して戦うストーリーだ。
同作は主人公・森宮大志役として「仮面ライダージオウ」の奥野壮さんが出演するほか、『ウルトラマン』シリーズで監督を務めた辻本貴則(辻は1点しんにょうが正式表記)さんが演出を務めた「パラスポーツ×特撮」作品。そこで女優・水野美紀さんが演じたのが、怪獣を操るアラート星人でエルトロン族のラルーだった。派手な特殊メイクと赤い角が印象的で、セリフはすべて“宇宙語”という、ミステリアスな役柄である。
ラルーを演じるうえで「ボスらしい迫力が出るように、怒る姿が怖かったり、圧があるように心がけました」と、インタビューで語っていた水野さん。“特撮では「よーい、スタート」でマックスで怒っていなければならないところが難しかった”、とも明かしており、かなり難しい役柄だったことがわかる。
ちなみにこのインタビューで「ついに悪のボスを任されるようになった」と話していた水野さんだが、実は特撮経験の悪役はこれがはじめてではない。1990年から放送されたテレビドラマ『地球戦隊ファイブマン』39話「愛を下さい」では、悲劇のヒロイン的な怪人という役柄で1話限りのゲストキャラクターの役で出演を果たしていた。
このエピソードは子ども向け番組らしからぬシリアスなエピソードということもあり、たびたび特撮ファンの間で語り草となっている回でもあるようだ。
今回紹介した作品のように、特撮作品ではたびたび意外なキャスティングがされることがある。
テレビでいつも見ている彼女たちが、コテコテな特撮もののキャラクタ一感満載なコスチュームに身を包んでいたりするのは、いつもと違う顔を見ることができて楽しめるのではないだろうか。