■今ではアップデート対象になりそうな「投げ」と「キャラ性能差」

『ストリートファイター2』では相手の間合いに近づくことで投げることができるが、この「投げ」が今では考えられないほど強い。発生が1フレーム(最速で技が出るということ)でとにかく早い上に、信じられないほどダメージが高く、さらには「起き攻め」にいけるという割と凶悪な仕様だった。

 とにかく投げが強すぎて、当時『ストリートファイター2』では、「投げ」を使ったハメ技も横行していたほど。現在だったら100%アップデートが入っていただろう。

 そんな「投げ」もシリーズを重ねるごとに仕様が見直されていき、『ストリートファイター6』に至っては「投げ抜け」があったり、発生の早い弱パンチなどで潰したりすることが可能だったりと、色々な戦術で対策できるようになっている。

 このように少々バランスが悪いのも『スト2』の醍醐味。キャラ性能差が大きいのも特徴で、当時の『スト2』ではガイルが最強と言われていた。遠距離ではソニックブーム、近付いてきたら中脚、飛び込んできたら対空にサマーソルトキック。このひたすら待ちに徹する「待ちガイル」と呼ばれる戦法がやたらと強い。強すぎるうえにやられる側は非常にイライラさせられるため、友人間で「待ちガイル禁止」のルールを設けていた人も多いのではないだろうか。

 昔はこうしたキャラ性能の差は新作が発売されるまでどうしようもなかったが、今ではバランス調整のアップデートで解決できるのだから便利になったものだ。

■リュウにあった弱点

 実は、『ストリートファイター2』の開発中、キャラクターの特定の部位に弱点を設定しようという話が持ち上がっていたが、時期尚早であるとして見送られたという逸話がある。

 結局、『ストリートファイター6』になってもその仕様が実装されることはなかったが、『ストリートファイター2』では検証用のデータのまま製品化されてしまい、リュウだけ気絶時の被ダメージが2倍になるという事件が発生。この事件はのちにファンの間で「病気持ちのリュウ」と呼ばれている。

 現在では、オンラインアップデートで一瞬で解決する問題が、こうして後々まで語り継がれる伝説のようになってしまうことも、今となってはレトロゲームの醍醐味と言えるかもしれない。

 シンプルだが、上下のガードの見極めや確実なコマンド操作が勝負を分ける『スト2』。シリーズがアップデートを重ねていく中、今後も愛され続けるタイトルであるのは言うまでもないだろう。

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