■RPGの世界観と高難易度が大人気のシリーズ『カイの冒険』&『ドルアーガの塔』
1988年にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)より発売された『カイの冒険』は、「バビロニアン・キャッスル・サーガシリーズ」の第3弾を飾る作品だ。
主人公の巫女・カイを操作しステージをクリアしていくアクションゲームで、独特の浮遊感を持つジャンプを駆使しながらギミックに挑んでいく玄人向けの一作となっている。
そんな本作の主人公・カイだが、本シリーズの初代作品となる『ドルアーガの塔』ではなんとヒロインの役柄だった。
ストーリーはというと、バビリム王国の王子・ギルガメス(ギル)は石にされてしまった恋人・カイを救うため、単身、悪魔・ドルアーガが待つ塔へと挑んでいく……というもの。
実は前述の『カイの冒険』は、『ドルアーガの塔』が始まる以前の時間軸を描いた作品となっていた。それゆえ『カイの冒険』のラストではカイがドルアーガに捕らえられるという、いわゆる“バッドエンド”な展開となってしまうのだ。
互いの作品の関係性からこの展開自体は仕方ないものの、やはり当時、経緯を知らないプレイヤーたちからすればショックは大きかったようだ。
この2つのゲームの特徴としては、『カイの冒険』がアクションゲームだったのに対し、『ドルアーガの塔』はアイテムを取得し、キャラクターを成長させながら塔の最上階を目指す、アクションRPGゲームとなっている。
『ドルアーガの塔』はその絶妙な難易度と、中世ファンタジーを下地とした世界観から今もなお根強いファンを多く持つ作品だが、ジャンルを変えた『カイの冒険』にもその骨太なゲーム性はしっかりと受け継がれている。
主人公とヒロイン、それぞれの目線で描かれた物語がシンクロする展開は、当時としては実に斬新だと言えるだろう。
ヒロインやかつての敵を主人公に据えた作品や、制作過程で別タイトルになった作品……タイトルこそ違えども、詳しく見ていくとさまざまな部分で意外な繋がりを持つファミコン作品が多数存在する。ゲーム性はもちろんだが、そういった作品に隠された“関係性”にも目を向けてみると、思わぬ発見があるかもしれない。