ファミコン全盛期、数多くの名作ゲームが世に放たれたが、なかにはタイトルこそ違えども思わぬところで地続きな世界観を持つソフトも存在する。タイトルやジャンルが違う名作同士の、意外な関係性について見ていこう。
■かつての“敵”があらたな“主人公”に!? 『ボンバーマン』&『ロードランナー』
1985年にハドソンより発売された『ボンバーマン』は、爆弾を使うことでブロックや敵を破壊し進むアクションゲームだ。ハドソンを代表するシリーズの一つで、続編はもちろん、アニメ化といったメディア展開も果たしている。
のちに続いていくシリーズの初代作品……なのだが、実はこの『ボンバーマン』自体が、とあるファミコン作品と地続きの世界設定を持っていることをご存じだろうか。
1984年に同社より発売された「バンゲリング帝国三部作」の一つである『ロードランナー』こそ、その意外な繋がりを持っている作品だ。
襲い来るロボットたちに捕まらないよう、“穴を掘る”というアクションのみを頼りにステージにある金塊を集めていくアクションパズルゲームである本作。繋がりは薄そうに見える両作品だが、とある“グラフィック”に注目すると妙な共通点が見えてくる。
何を隠そう、『ロードランナー』に登場する敵役のロボットのドット絵が、そのまんま『ボンバーマン』の主人公の絵となっているのである。
実は『ボンバーマン』はもともと、悪の手先として地下迷宮で働くロボットだったのだが、“地上に出れば人間になることができる”という噂を聞き、唯一の攻撃手段である“爆弾”を駆使しながら追っ手を振り切り、迷宮の脱出を目指す……という背景設定があったのだ。
とはいえ、これは後付けによるスピンオフ設定で、いわばスタッフの“遊び心”で、あとから発売された『ボンバーマン』こそ、『ロードランナー』の主人公の過去を描いた作品である……という形に、互いの作品背景をうまく繋げたのだという。
のちの『ボンバーマン』シリーズには引き継がれていない世界設定だが、名作パズルゲームの主人公と敵キャラの意外な繋がりに、思わず驚いてしまうエピソードである。
■シリーズで正統進化を続けるシューティング! 『沙羅曼蛇』&『グラディウス』
1987年にコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)より発売された『沙羅曼蛇』は、宇宙空間を飛び交う自機を操作し、襲い来る無数の敵を撃破していく縦横両スクロールシューティングゲームだ。
美麗なグラフィックで描かれるギミックや敵キャラ、テンポの速いバトル、高い爽快感から人気を誇る一作だが、実は本作はタイトルこそ違えども、ある有名シューティングゲームの続編なのである。
それこそが、1986年に同社から発売された『グラディウス』だ。
ファミコン作品として非常に高い知名度を誇る『グラディウス』だが、続編のタイトルが『沙羅曼蛇』とまるで違うテイストになってしまったのには、あるわけがあった。
実はこれ、もともとは『グラディウス2』というタイトルで開発が進んでいたのだが、前作に比べて相違点が多いことから、急遽、別タイトルとして発売することになったという経緯があったという。
『グラディウス』は迫りくる亜時空星団・バクテリアンから美しき惑星・グラディウスを守るため、超時空戦闘機のビックバイパーを操って戦うことになるのだが、このビックバイパーこそ、続編『沙羅曼蛇』にて1P側が操作する機体として受け継がれている。
加えて、続編のタイトルとなっている『沙羅曼蛇』も、新たな敵として現れたバクテリアン星団の精鋭戦隊・サラマンダを指していたりと、互いの世界観がしっかりとリンクしていることが分かる。
1作目は守るべき惑星の名前を、そして2作目は激闘を繰り広げる敵の名前をタイトルとした、命名の経緯も非常に面白いシリーズ作品だ。