『セーラームーン』柿沼紫乃に『クレヨンしんちゃん』藤原啓治も…実は本当に泣いていた…!? アニメでの“泣きの演技”が素晴らしすぎた声優たちの画像
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』[DVD](バンダイビジュアル)

 “声”で作品を彩り、視聴者を魅了する声優たち。迫力のある声優たちの圧巻の演技には、思わず心奪われてしまう。実はそんな声優たちのなかには「泣きの演技」で“本当に泣いていた”など、体当たりの演技をしている人もいるという。そこで今回は、「泣きの演技」が素晴らしかった名声優たちを厳選してご紹介していこう。

■号泣しすぎてNG連発!? 『美少女戦士セーラームーン』柿沼紫乃

 1992年から放送されたテレビアニメ『美少女戦士セーラームーン』。本作で主人公・月野うさぎの親友・大阪なるを演じていたのが、声優の柿沼紫乃さんだ。

 なるは、セーラームーンたちの敵である「ダーク・キングダム」のネフライトに恋をしてしまうのだが、アニメ第24話「なるちゃん号泣! ネフライト愛の死」では、そのタイトルから読み取れるように悲しい別れを経験することとなる。

 ネフライトがなるを庇って致命傷を負い、絶命してしまうシリアスなこの回。ネフライトは彼女を騙し続けていたことを謝罪し、感謝の気持ちを伝えながら消滅していってしまうのだ。

 作中でも屈指の名シーンとして知られるこの回だが、実は柿沼さんの並々ならぬ思いが入った回でもあった。

 なんでも、アフレコの際に柿沼さんは役に入り込みすぎてしまい、号泣しすぎてセリフを言うことができず何度もNGを出してしまったという。ネフライトを演じていた森功至さんには迷惑をかけてしまったそうだが、当の森さんは柿沼さんがセリフを言えなくなるほど役に入り込んでいたことに対し、「役者冥利に尽きる感じです」と印象深いシーンだったことを明かしている。

 泣きすぎてNGを出してしまうとは……柿沼さんの声優としての心意気と、キャラへの思いが感じ取れる貴重なエピソードだ。今もなお、ファンに語り継がれる名シーンとなったのも頷けるのではないだろうか。

■亡き父に捧ぐ名演技! 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』藤原啓治

 1992年から放送されている国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』で野原ひろし役を演じていた藤原啓治さん。家族を見守る温かい父親であるひろしに藤原さんの声はマッチしており、2016年に病気療養を理由に休業するまで約24年間にわたってひろし役を演じ、愛されてきた。

 そんな藤原さんが、2017年10月17日に公開された『しんちゃん通信』のスペシャルインタビューで「泣きの演技」について語る一幕があった。

 2001年に公開された『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』では、組織「イエスタディ・ワンスモア」によってひろしをはじめ大人たちが幼児退行してしまう。

 そしてクライマックスのシーンで、しんのすけの機転によってひろしは正気を取り戻すのだが、そのときの回想シーンは“大人も泣ける名シーン”としてあまりにも有名だろう。

 子どもの時代から現代まで、自分の人生を回想していくひろし。そのなかには大きくあたたかな父の背中があった。

 ひろしの父・銀の介は存命しているのだが、もう戻ることはできない懐かしい記憶と、現代で待っていてくれた我が子・しんのすけの温もりを抱き、涙するひろし。「とーちゃん、オラがわかる?」とたずねるしんのすけを強く抱きしめ、「あぁ……あぁ…!」と力強く答える声と、合間に漏れる嗚咽に観客は涙した。

 シリーズ屈指の感動作となった本作について、藤原さんは収録時に亡き父親の姿が常に頭の片隅にあったと語り、「誠に勝手ながら、この作品を尊敬する私の父親に捧げています」と明かしていた。

 亡き父を思った藤原さんの「泣きの演技」。『クレヨンしんちゃん』の往年のファンのみならず、多くの人の心に残る名シーンとなった。

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