■“泣きの演技”のあとは休憩が必須!? 『天地明察』羽多野渉
冲方丁さんによる小説『天地明察』のオーディオドラマに出演していた、声優の羽多野渉さん。彼は全17時間の大ボリュームのオーディオドラマを録るにあたって、3日間にわたって主役の渋川春海を演じた。
羽多野さんは、1人の人物に没頭するように収録するスタイルが貴重な体験だったと2015年7月17日に掲載された『ダ・ヴィンチ Web』のインタビューで語っている。そして感情の起伏が激しかったという渋川の人生を演じるにあたり、羽多野さんは「マイクが割れるほどの声を出してしまったり、本当に涙が出ることもありました」と、熱量のこもった演技をしていたことを明かしていた。
あまりに役に入り込みすぎたため、「泣きの演技」のあとは気持ちを切り替えるための休憩をもらったという羽多野さん。たしかに“泣くこと”はそれだけ体力も精神力も使うものだが、それを演技としてできてしまう声優たちの凄さには驚かされるばかりだ。
■“エースのシーン”はキャストがボロ泣き!?『ONE PIECE』
『週刊少年ジャンプ』で人気連載中の『ONE PIECE』は、1999年にアニメ化され、24年が経つ今も大人気の長寿アニメでもある。
そんな本作でも、声優たちが“ボロ泣き”したシーンがあった。2011年4月27日に開催された「史上最大のワンピースイベント ONE PIECE DOME TOUR」に登場したメインキャラクターのキャストたち。
“長年、ルフィ役を務めてきた感想”について聞かれたルフィ役の田中真弓さんは、人気キャラ・エースを助けてくれなかった作者の尾田栄一郎さんに不満をぶつけながらも、「あんまりしゃべると泣くぞ〜!」なんて、収録中からの思いを吐露していた。
そして、彼女に便乗したウソップ役の山口勝平さんは「収録は結構大変でした。みんな泣いちゃって……」と、当時、声優たちが泣きながら演技をしていたことを明かしていた。
作中でもルフィの兄・エースの死は大きな転機として描かれているが、エースを演じていた古川登志夫さんも、彼の最期が近づくにつれてスタジオに行くのもつらかったそうだ。
登場するキャラクターが、ファンだけではなく演じていた声優たちにとっても愛されていたことがよくわかるエピソードだろう。
「泣きの演技」でファンを楽しませてくれる声優たち。自分自身が涙するほど役に入り込み、熱量を込めたことにより、これらのシーンはアニメ界で語り継がれるほどの“名シーン”となったのかもしれない。
いち視聴者として、これからも彼らの見せる名演技の数々を楽しみにアニメを見ていきたいと思った次第だ。