ファミコン時代には、『スーパーマリオブラザーズ』をはじめ、『ロックマン』に『魔界村』『高橋名人の冒険島』といった、さまざまな名作横スクロールアクションゲームが生まれた。キャラのかわいさや動きの面白さ、難易度の絶妙さなど、評価ポイントはいろいろあるが、中には「こうきたか!」という発想のプラス要素があしらわれた横スクロールアクションもあった。今回は、ボス戦などでの「もうワンプラス」の要素が面白かったファミコン時代の横スクロールアクションゲームをいくつか振り返りたい。
■ボスが「しりとり対決」だった『ワギャンランド』
ナムコが開発、発売した横スクロールアクションゲーム『ワギャンランド』のプラス要素はボス戦のミニゲームだ。
ステージの道中はオーソドックスなアクションゲームで、ジャンプや、口から出る「音波砲」を使って、敵や地形を攻略していくゲーム性。敵を硬直させて足場にするというゲーム性がユニークで、「ワッ」や「ギャー」といった文字が飛ぶ「音波砲」はコミカルだ。かわいらしく、見ているだけでも賑やかな気分になれる。
そんな『ワギャンランド』のボス戦は、アクションではない。なんと、神経衰弱やしりとりが始まるのだ。
ミニゲームは、ボスとプレイヤーが交互にパネルを開けていく方式で進めていく。どちらもプレイヤーの獲得パネル枚数が多ければクリアとなって、次のステージへ進める。
特にしりとりは、「裏読み」システムが独特だった。絵の描かれたパネルを選択して、「たぬき」「きつね」「ねこ」と、しりとりを繋げていくのだが、パネルには複数の名前がある。「ミルク」を「ぎゅうにゅう」と読めたり、「いえ」が「こや」や「おうち」と読めたりもする。
中にはかなり強引な読みがあって「いのしし」が「ぼたんなべ」だったり、「いえ」が「ひらやいっこだて」だったりする。「ロケット」に関しては「うちゅうりょこう」「ミサイル」「スカッド」「パトリオット」と、トリッキーな読み方のオンパレードだ。
通常ステージのアクション性はもとより、特徴的なボス戦が人気のゲームだった。
■ミニゲームが満載だった『パーマン』
1990年にアイレムより発売された『パーマン』は、同名の藤子・F・不二雄氏原作の漫画やアニメのゲーム化作品だ。『ワギャンランド』と同じく、こちらもボス戦にプラス要素があしらわれている。
道中はオーソドックスな横スクロールアクションで、踏みつけやパンチで敵を倒したり、地形やギミックを攻略していくというゲームだ。さまざまなパワーアップアイテムや回復アイテムが存在する。横スクロールアクション要素においては『ワギャンランド』よりもオーソドックスな作りだろう。
こちらのボス戦は「すごろく」だった。交互にサイコロを振って、出た数の分だけマス目を進んでいくというシステムとなっている。止まったマス目によって攻撃や回復ができるようになっていて、ゴールする他に、ボスの体力をゼロにして倒してもクリアとなる。
ボス戦の他にも、通常ステージの道中でミニゲームができるタイミングがある。ミニゲームは「間違い探し」と「モグラたたき」だ。クリアするとアイテムが貰える仕組みで、このミニゲームでボス戦のすごろくが有利になるアイテムを入手することもできる。
多彩なミニゲームと、オーソドックスな通常ステージでやりごたえがあり、また藤子作品を原作としたファミコンとしては比較的後期に発売されたソフトということで、ドット絵も美しく原作キャラの再現度が高い。プラス要素と横スクロールアクション要素のバランスが絶妙な名作だ。