■間違えて入れたラブレターがきっかけで…『先生!』河原和音

　１９９６年から『別冊マーガレット』（集英社）で連載されていた『先生!』は、さわやかなラブストーリーが得意な河原和音氏によるヒット作だ。

　本作は生徒と教師の“禁断の恋”を描いた物語なのだが、恋のきっかけはラブレターだった。

　主人公・島田響は純粋でまっすぐな性格をした恋愛初心者の女の子。ある日、響は親友に頼まれたラブレターを下駄箱に入れたのだが、入れる先を間違えて教師・伊藤貢作の手にわたってしまう。

　この出来事をきっかけに伊藤との接点を持った響。そのラブレターに対し、「名前がないから０てん」と添削して返すユーモアを見せる伊藤もよかった。

　響はもともと彼のことが気になっていたものの、恋愛に疎いため、自身の恋心には気づいていなかった。しかし、伊藤がラブレターについて他言することを心配していた親友の千草恵に、「きっと伊藤先生は言わないよ」と庇うような様子も見せている。

　はたから見れば、“なるべくしてなった”２人のようにも思えるが、響が“ラブレターの一件”を機に伊藤を意識するようになったのは間違いないだろう。自身が書いたものではないとはいえ、ラブレターが恋の始まりとして描かれた印象的な作品の一つだ。

 

　さまざまな形で登場するラブレターは、少女漫画において重要なアイテムの一つである。誰かを思いしたためるそれらのラブレターには、キュンとするほどまっすぐな気持ちが書かれていたり、素直になれずあまのじゃくな言葉を書いてしまっていたりと、物語を盛り上げ、読者をドキドキさせてくれるものだ。

　メールやＬＩＮＥなど便利なツールも多い現代だが、これらの作品のように、ときには思いを込めたラブレターを届けてみるのも良いかもしれない。

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