本日、5月23日は「恋文(ラブレター)の日」だ。「恋文」の語呂合わせと、浅田次郎氏原作の映画『ラブ・レター』の公開日を、配給会社である松竹株式会社が制定したことにより誕生したそうだ。
そんなラブレターは、“恋の始まり”の演出として少女漫画に登場することもある。とくに往年の名作には、ラブレターでの印象的なシーンが多かったように思う。そこで今回は、印象的な“ラブレター”が登場する90年代の少女漫画をご紹介していこう。
■ラブレターをテーマにしたオムニバス 『恋文日和』ジョージ朝倉
タイトルのとおり、“恋文”こと“ラブレター”をテーマにしたジョージ朝倉氏の漫画『恋文日和』。1998年から『別冊フレンド』(講談社)で連載が開始され、実写映画化やドラマ化も果たした人気作となっている。
コミックス第1巻に収録されている「図書室のラブレター」では、名前も知らない誰かからラブレターをもらった主人公・高瀬リリコが、次第にラブレターの送り主に興味をもち、不思議な文通が始まっていくというストーリーになっている。
思いを文字に乗せて相手に送るラブレター……本作では手紙やFAX、ノートなどさまざまな形のラブレターが登場するのも見どころの1つになっていた。
メールやSNSが普及した現代では、なかなか“ラブレター”を目にする機会は少なくなってしまった。しかし、今考えると、誰かを思いながら勇気をふり絞って書くラブレターは、とても魅力的なものに思える。
そんなラブレターにまつわるエピソードが丁寧に描かれた『恋文日和』。令和の今だからこそ、心に刺さる人も多いかもしれない。
■届かなかったラブレターが切ない…『天使なんかじゃない』矢沢あい
『天ない』の愛称で知られる『天使なんかじゃない』は、1991年から『りぼん』(集英社)で連載された作品だ。著名人にもファンを公言する人が多い本作は、作者の矢沢あい氏の代表作の1つでもある。
そんな本作でラブレターのシーンといえば、マミリンこと麻宮裕子が思い人である瀧川秀一にあてたものが印象的だった。
当時、中学2年生だった麻宮は、バレンタインに本命チョコとともに「好きです」と書かれたカードを添え、彼のカバンにそっと忍ばせていた。しかしこの本命チョコは、現場を目撃していたライバルの原田志乃によって捨てられてしまう。そのため、麻宮が決死の思いで渡そうとした本命チョコとラブレターは、瀧川に届くことはなかったのだ……。
のちに原田からその事実を明かされ、謝られた麻宮。“かなわないと思ったから”という理由で麻宮のラブレターを捨ててしまった志乃の気持ちもわからないわけでもないが、「一生分の勇気 使い果たした気分だった」と言うほど勇気をふり絞って用意したラブレターが届かなかった麻宮のことを思うと……なんとも切なくなってしまうエピソードだった。
主人公カップルの冴島翠と須藤晃の恋愛模様はもちろん、麻宮と瀧川の感動的な恋の行方にもドキドキさせられた本作。ぜひ、この機会に読み返してみてはいかがだろうか。