スクウェア・エニックスが2023年4月24日から、あの名作『ポートピア連続殺人事件』をAI技術学習用コンテンツとして『Steam』で無料配信している。キーボードで打ち込むと、ちょっとイケメン風の相棒「ヤス(AI)」が意図を汲んで捜査するという。
このニュースで『ポートピア連続殺人事件』と聞いて、往年のファンは心躍ったに違いない。筆者がプレイしたのは小学生時代だったが、真相に辿り着いたときは感動したものだ。
そういえばファミコン時代の殺人事件のゲームは、ドット絵だけに怖かった記憶がある。そこで、筆者も子ども時代に怖かったファミコンの殺人事件ゲームを振り返ってみよう。
■オープニングの車掌が最恐だった…『西村京太郎ミステリー ブルートレイン殺人事件』
まずは、1989年にアイレムから発売された『西村京太郎ミステリー ブルートレイン殺人事件』だ。筆者はミステリー好きだったので、西村さんの作品をよく読んだものだ。
「十津川警部シリーズ」の寝台特急が舞台で、捜査はもちろん十津川警部が……かと思いきや、おもにカメさんこと亀井刑事と西本刑事が行っていた。どことなくカメさんが愛川欽也さんに似ていたような……あぁ、思わずドラマを思い出してしまうな。
グラフィックが渋くてイケメンな十津川警部は実写ではいろんな俳優が演じていたが、相棒がキンキンであれば、三橋達也さんがモデルなのだろう。
なんといっても今作はオープニングがとにかく怖かった! 寝台特急で車掌が驚いた表情を見せるのだが、影の演出もあってやけにリアルな表情なのだ。
そして、BGMとともに現れた男の死体……これまたプレイヤーに悪意があるとしか思えない死に方で、こっちを見るんじゃない!って思ってしまったものだな。小学生にとってはトラウマものだったぞ。
■文字表示の効果音が心臓に響いた…登場人物が全員怪しく見えた『名探偵ホームズ 霧のロンドン殺人事件』
次は、1988年にトーワチキから発売された『名探偵ホームズ 霧のロンドン殺人事件』だ。ホームズシリーズの第2弾として発売され、システムなどは前作よりも大幅にパワーアップしていた。
BGMはテンポもいい感じなのだが、登場人物が話すたびに文字表示と同時に“ビー!”という効果音が響く。これがずっと続くので心臓に響いたものだった。だってBGMよりも音が大きいし……。
このゲームの怖いところは、昔のロンドンが舞台ということもあり、全体的に雰囲気が暗めなところだ。もともとファミコンのドット絵で暗いのに、さらに不気味さを演出している。そのせいもあってか、登場人物の顔がみんな怪しく思えてくるのだ。
最初に登場する「ハドスン夫人」が、まず怪しい。山村美紗サスペンスなら容疑者候補間違いなしだ。そして兄貴の「マイクロフト・ホームズ」も、影がある表情が不気味だった。しかも、弟のことを「ホームズ」と呼んでいる。いや、お前もじゃん……って、モリアーティの変装か!?
極めつけは「レストレード警部」だ。頼りないどころか、もはや犯罪者みたいな顔つきをしている。ホームズの小説を読んでいた側からすると、なんだかイメージと違って怖かった……。
そして、レストレード警部に呼ばれて殺人事件の現場に移動するのだが、なんと死体の心臓がえぐられている。いやいや、レストレードよ、お前が殺したんじゃないのか?と思ったものだった。
あとは病室でのスミス将軍……事前に病室の外で待機しているスミス将軍の部下に具合がだいぶ良くなったと聞いていたのだが、あの病室で寝ていたスミスはどう見ても死んでいるだろう……。とにかく、夜に一人でゲームするのは怖かったぞ。