『らんま1/2』や『幽☆遊☆白書』も…『ストリートファイター2』ブームの影響で“90年代に格闘ゲーム化”した名作漫画3選の画像
画像はスーパーファミコン用ソフト『ドラゴンボールZ 超武闘伝』(編集部撮影)

 1991年にカプコンより登場したアーケードゲームストリートファイター2』は、その完成度の高さから“格闘ゲームブーム”の火付け役となった。この流れを受け、有名漫画作品をモチーフとした格闘ゲームも数多く登場している。そこで、90年代に登場した、“人気漫画が原作”となった格闘ゲームについて見ていこう。

■随所に盛り込まれた原作要素…キャラゲーとしてのクオリティ高し! 『らんま1/2町内激闘篇』

 1987年から『週刊少年サンデー』(小学館)にて連載された『らんま1/2』は、高橋留美子氏の代表作の一つとして、いまもなお多くのファンに愛されている作品だ。水をかぶると女性になってしまう拳法家・早乙女乱馬を中心に、ギャグをふんだんに盛り込んだ“ラブコメ格闘漫画”として、唯一無二の作風を確立している。

 そんな本作をモチーフとし、1992年にメサイヤ(日本コンピュータシステム)から発売されたのが、『らんま1/2 町内激闘篇』である。

 『らんま1/2』のゲームとしてはスーパーファミコン(以下、SFC)初の作品であり、開発会社であるメサイヤにとっても初のSFC作品となった。

 町内会がお祭りの一環として開催した“武闘大会”に参加し、優勝商品である“中国旅行”を勝ち取るため、数々の強豪たちと“バトルロイヤル”を繰り広げていく……というのが、大まかなストーリーだ。

 プレイヤーは操作キャラ(らんま男or女)を選び、原作にも登場した数々の個性的なキャラクターたちと戦っていくのだが、本作の特徴はなんといってもその再現度の高さだろう。キャラクターグラフィックはもちろん、ステージ背景や顔グラフィックも原作を忠実に再現しており、一枚絵も豊富。また、きっちりとアニメ版の声優を起用してくれているのも、嬉しい点だ。

 対戦キャラクターは早乙女玄馬、九能小太刀、九能帯刀、風林舘高校校長、シャンプー、響良牙といったお馴染みの顔ぶれが揃っており、それぞれの特徴がしっかりとキャラ性能にも反映されているなど、非常に芸が細かい。

 基本的には操作キャラがらんましか選べないといった少し残念な点はあるものの、“キャラゲー”としてのクオリティは非常に高く、のちに同社から続いていく『らんま1/2』の格闘ゲームシリーズの始まりの一歩となった記念すべき作品である。

■スピード感溢れるバトルに気弾の打ち合い…“サイヤ人”に誰しもがなりたかった!『ドラゴンボールZ 超武闘伝』

 1984年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載を開始して以来、時を経てなお国民的な人気を誇るバトル漫画と言えば、鳥山明氏の『ドラゴンボール』だろう。地上、空中を所狭しと飛び回るハイスピードバトルが特徴の本作だが、意外にもゲーム化された作品としてはRPGが多かった。

 そんななか、1993年に満を持して格闘ゲームとしてバンダイより発売されたのが、SFCソフト『ドラゴンボールZ 超武闘伝』である。

 本作の最大の特徴と言えば『ドラゴンボール』という作品のバトルを忠実に再現したシステムの数々だ。地上だけでなく空中も利用可能なフィールドや高速移動、近接格闘のみならず“気弾”を使っての遠距離攻撃など、作中でキャラクターたちが繰り広げたバトルを見事に再現している。

 このゲームでは原作の“マジュニア編”から“セルゲーム”までのストーリー、キャラクターをカバーしており、主人公・孫悟空はもちろんのこと、ベジータやピッコロといったお馴染みの顔ぶれや、フリーザ、人造人間、セルといった敵キャラも使うことができる。

 また、起用された声優も原作アニメのままで、戦闘時のみならずコンティニュー時やゲームオーバーの際にも原作のセリフを使っているなど、憎い演出がそこかしこにちりばめられている。

 初代作品ということで荒削りな部分も否めないが、これを起点に数々の続編が生み出され、シリーズとして着実に進化を遂げていった。独自のシステムを用いて、誰しもが憧れた“サイヤ人”と強敵たちとのバトルを実現した、ファンにとっては感激ものの一作だ。

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