■趣深いものが多かったファミコンの説明書

 このように、最近では見なくなった紙の説明書は、改めて見てみると趣深いものばかりです。

 僕の好きなのは『ペーパーボーイ』の説明書。日本では非常にマイナーなゲームですが、移植元であるアメリカによるアタリ版は100万本以上の売上を記録したヒット作。説明書ではストーリーの前に、このゲームが米国でどれほど人気があったか、100万本以上売れたすごいゲームだというということが1ページ丸々使って説明されています。一時期洋画の宣伝文句でもよく見かけた「全米No.1」みたいなことでしょうか。

 また、ファミコンの周辺機器「パックス パワーグローブ」の説明書は逆に弱気。「操作性が大変微妙なため、使い慣れるのに何日か練習が必要です。イライラせず、あきらめないで練習を続けてください」とあまりにも素直な説明がされており、これまた非常に好みです。使用したことがある方なら分かってもらえると思いますが、パワーグローブは確かにその説明通り、本当に操作性が微妙。ゲームプロである僕でもスーパーマリオ1-1が非常に難しくなるほどですから。

 その他には『ボコスカウォーズ』『ソンソン』の説明書のようにメイン曲の歌詞が載っているもの。『ロックマン』『ロックマン2』のように1枚の大きな説明書を新聞のように広げて読むもの。『桃太郎伝説』のように説明書がまさに新聞形式で書かれてあるもの。『うっでいぽこ』の、説明書に紙相撲の人形の絵が描いてあり、箱の裏の土俵で遊べるデザインになっているもの。アドベンチャーゲーム『ポートピア連続殺人事件』の説明書のように、あらかじめプレイヤーが疑問を抱きそうな箇所をQ&Aで答えたもの。などなど、一口に説明書といっても、書かれている内容や形も自由でした。

 近年、ゲームから紙の説明書はなくなってしまいましたが、かつてファミコンで遊んだ人であればそれぞれ「説明書」の思い出があるのではないでしょうか。電子説明書は紛失も傷むこともないので便利ではありますが、ゲームの説明以外の楽しみもあったのが紙の説明書。また紙の説明書が復活して欲しいですね。

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