「レコーディングはリハビリだった」声優・吉野裕行、２年ぶりの音楽活動再開に込めた想い

■レコーディングはリハビリだった■

感情をぶつけるような歌い方、優しいトーンの歌い方など、声優アーティストならではの変幻自在な声色を活かした歌い方にも注目したい。印象に残っているレコーディングの様子を語ってくれた。


「いや～、まるでリハビリでしたね（笑）。エモーショナルな楽曲は好きなので、『まぼろし』という曲はなるべく優しく歌いたいという意図はありましたが、あまり感情に引っ張られすぎないように歌ったほうがいいなと、プロデューサーと話しながらレコーディングしていきました。ライブだったらちょっとぶち壊れるぐらいのテンションで曲にアプローチしても成立する瞬間はある。その溢れるような感情をあえて封じ込めて歌うのって難しいですね。
『桃源郷』に関しては、 ちょっとスカっぽくやりたいって話をもともとしていたんですよ。それでこの楽曲が生まれたんですが、歌唱についてはこの曲のあたりから、空気を多めに入れて歌う歌唱方法を勉強して取り入れたんです。いつもだったら、もうちょっと強めに歌うところなんですが、いかに力を入れずに力強く聴こえるように歌うかを意識しました。
それから『サイケデリック～』のレコーディングは、かなり時間がかかりました。曲中にしゃべるっていうことをやりたいという話になったとき、その部分の歌詞を考えてくださいと言われて書いてみたんだけど、なんだかすごく狭い世界のことを綴ってしまって、１回書き換えたりもしました。ここでは、僕が言いたいことをものすごい速さで言って、“もう俺のことはほっといてくれ！”みたいな気分で歌ってるんです。スピードをきちんとコントロールして録ったりもしたんですが、そうすると綺麗にまとまりすぎて聴こえてしまったんですね。だからやり直して。だから、曲を聴いてみると、“なんだか急に言ってることが違うぞ”って思うかもしれない（笑）」

■“これがいまの俺だ”と証明するタイトル■

ところで、今回のタイトルはとてもユニーク。日付と思しき数字であるが、「2022/07/28～2023/02/26」読み方も「にせんにじゅうにねんしちがつにじゅうはちにちからにせんにじゅうさんねんにがつにじゅうろくにち」。吉野自身がつけたアルバムタイトルだが、いったい何なのか。

「コンセプトやリード曲がない以上、素直に音楽に携わった時間をちゃんとここに書きたいなって思って、日付をそのままタイトルにしました。自分が今回楽曲をこの期間に作っていたとわかるものでいいんじゃないかなと。これが音楽と向き合ってリハビリをしていた時間です！」

今年の8月でアーティスト活動10周年を迎える吉野。最後にこの10年を振り返り、音楽が持つ力を語りながら、クリエイトへの想いを綴った。



「２年間休んでるので、10周年って言われても、自分の中でその実感が全くないのですが（笑）、それでも10周年は10周年。またいまから始めるしかないかなという気持ちですね。いつも通りの暮らしの中に音楽が寄り添ってくれることは多いと思うのですが、人生をふと振り返ってみても、あのときの音楽って…というふうにいつまでも残っていますよね。それって音楽を作る側からすると、ものすごい奇跡的なことだと思うんです。だから、僕が作っている楽曲のどれかが、一瞬でも誰かの心に寄り添うものであってほしい。そういうふうに届けられたらいいなと思いながら、音楽と向き合っていきたいと思います」



INFORMATION

吉野裕行　５thミニアルバム「2022/07/28～2023/02/26」

発売中

【豪華盤】※初回生産限定
LACA-35046
6,160円(10%税込) /5,600円(税抜)

【通常盤】
LACA-25046
2,200円(10%税込) /2,000円(税抜)

<収録内容>
旅立つ君と余花とチェリー
作詞 作曲 編曲:宮崎誠カリスマ 作詞 作曲 編曲:宮崎誠

まぼろし
作詞 作曲 編曲:宮崎誠

BANANA
作詞:kenko-p 作曲 編曲:円山天使

サイケデリックアンノウン
作詞 作曲 編曲:宮崎誠

桃源郷
作詞 作曲 編曲:宮崎誠

※豪華盤には映像特典として、MVやメイキングの他、2021年12月に開催したオンラインライブ『Kiramune Presents 吉野裕行 “冬来りなば春遠からじ”』のライブパートの模様を収録予定。

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