「機動戦士ガンダム00」シリーズのアレルヤ・ハプティズム役や、「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」のキルバーン役など、話題作のキャラクターを多く演じる吉野裕行。その彼が、男性声優アーティストレーベル「Kiramune」でCDデビューを果たし、2023年８月28日にアーティスト活動10周年を迎える。彼の５thミニアルバム「2022/07/28～2023/02/26」が発売中だ。桜をテーマにした楽曲など、吉野ワールドを感じさせる多様な楽曲を計６曲収録。５月13日、14日には、神谷浩史、浪川大輔、柿原徹也、岡本信彦、江口拓也などKiramuneメンバーが総出演の音楽イベント「Kiramune Music Festival 2023」にも新譜を引っ提げて出演する吉野に、ミニアルバムへ込めた想いを聞いた。
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■約２年間、音楽から完全に遠ざかっていた■
吉野裕行にとって本作は、2021年のファーストフルアルバム『カタシグレ』以来約2年ぶりで、5枚目のミニアルバムとなる。
「僕はコロナ禍の2年間、音楽活動を休んでいたんです。２年もあれば、その間に音楽を自分で作って蓄積したり、ほかにやりたいことをやるという人もいると思うんですが、僕は２年間、完全に何もせずに音楽を遠ざけて完全に休んでいて。活動をふたたび始めるとなったときは、またイチから音楽を始めるような感覚でしたね。コロナ禍でもエンタメが必要だというのはわかってはいたけれど、Kiramuneのような大きな興行をコロナ禍に動かすということを想像したときに、たとえばライブだったら行きたくても行けない人のほうが圧倒的に多いだろうなと。僕が動くことによってサポーターの方が無理をして来てくださったり、逆に無理したいけど行けないっていう想いを持たせてしまうだろうと考えたら、やらないとはっきり明確にしたかったんです。 空白の２年間……何をやっていたのか、まるで時間泥棒にあったみたいな感じ（笑）。僕的には今まで所属していた事務所を離れたし、いったい僕はきちんと思考していたのかな？と疑ってしまうぐらい何もしなかったです（笑）」
■吉野流音楽の作り方「あえてテーマは持たせない」■
「Kiramuneの絆というか、みんながいてくれたからなんとかやれるかなって思えた」と語る吉野。神谷浩史や浪川大輔といったKiramuneメンバーの存在のおかげで、自分の気持ちの整理をしながら音楽制作に向き合っていった。
「これまでのアルバム制作もそうでしたが、僕の場合、“テーマ性を持たせない”というのがこだわりで、そこは今回も踏襲しています。テーマやコンセプトを作ってしまうと、ここに入れられない曲や歌詞が出てきたときにストレスになるんですよ。やっぱり自分がいいと思ったものはすぐ取り入れたい。 だから１曲１曲、どんなものを作りたいか、歌いたいかっていうアプローチで作りました」
今回のアルバム収録曲は６曲。春の別れをテーマに青春の一瞬を切り取った桜ソング「旅立つ君と余花とチェリー」、流れる四季と人生を綴った「カリスマ」、ギターサウンドでありのままの男の気持ちを歌ったエモーショナルなラブソング「まぼろし」、 前作アルバム時に制作していた未収録曲「BANANA」、ホーンを取り入れたアップテンポな「桃源郷」、そして「サイケデリックアンノウン」は、コロナ禍で感じた不健康な社会をあざ笑うかのような歌詞をセリフとして吉野本人が言っている。
「おおまかな楽曲のテイストや、アレンジなどの方向性はチームののなかでもとくにプロデューサーにお任せすることが多いです。ただ今回、僕からは、春にリリースされるから桜ソングを作ってみたいなということと、未発表だった『BANANA』を入れたいとお伝えしていました。
お任せはしているものの、アルバムを代表する曲――“リード曲”と呼んでいるのですが、これは作らないというのも、僕なりの音楽作りのこだわりかな。『リード曲どうしますか？』と毎回作っている途中で聞かれて、どうしようって思うんです。リード曲が決まるとＭＶも作られるのですが、リード曲じゃないとMVが作れないというのが僕にはちょっと納得ができなくて、作るんだったら全部MVを作りたいぐらいなんですよ。今回は『旅立つ君と余花とチェリー』のMVを作りましたが、作品の世界観を考えて、僕は出演せず、ナレーションでの出演を決めました。若い男の子が出てくれたのですが、彼は僕の出ていた『SKET DANCE』のファンだったそうで、とてもうれしかったですね」
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