昭和レトロ漂う異質なデザイン…『ガンダム』本編に登場しなかった「アッグシリーズ」再注目のワケの画像
バンダイのプラモデル「ジュアッグ(ユニコーンVer.)」

 さまざまなモビルスーツが登場する『機動戦士ガンダム』において、本編には登場しなかった“ガンダムらしからぬ”デザインの「アッグシリーズ」と呼ばれるモビルスーツ群をご存じだろうか? 大人の事情で本編に登場できなかった「アッグシリーズ」が、マイナーでありながらも近年ちょっとした注目を集めている。本記事ではそんな「アッグシリーズ」が注目を集めている理由について紹介しようと思う。

■そもそも「アッグシリーズ」とは?

「アッグシリーズ」とは前述したように、『機動戦士ガンダム』にてデザインされたモビルスーツたちで、「アッグ」「アッグガイ」「ジュアッグ」の3機のことを指す。もともとは富野喜幸(富野由悠季)監督のラフスケッチをベースに、大河原邦男氏がデザインを仕上げたものとされている。

 設定としては、地球連邦軍の本部・ジャブローの攻略を目的として開発された特務用モビルスーツであり、それぞれが侵入路掘削、対トーチカ、中距離攻撃用と役割に特化して3種1組での運用を想定しているのが特徴だ。『機動戦士ガンダム公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』(講談社)によると、ジャブロー攻略はこの3機に、格闘戦を目的とした水陸両用モビルスーツ「ゾゴック」を加えて計画されていたという。

 いずれも水陸両用機として設計されていたが、結果的に本編登場には至らなかった。その後、本編未登場のモビルスーツのことを指す「MSV(モビルスーツバリエーション)」の原点となり、書籍・ゲーム・プラモデルなどでファンの前にお披露目されることとなった。

■「アッグシリーズ」注目のきっかけ

 万人受けするとは言い難いその奇抜なデザインと「量産機」という特別感の薄い肩書きから、人気が出るまでに不名誉な待遇を受けてきた「アッグシリーズ」。主にネタ要因としていじられてきたが、“その道”を極めてきたことこそが、注目を集めるきっかけになった、とも言えるのかもしれない。

「ゆるキャラ」や「ご当地キャラ」という存在が世間で流行りだしたころ、ゲームや漫画などで『ガンダム』本編にも登場していた「アッガイ」(アッグガイやジュアッグのベースとなったモビルスーツ)がコミカルに描写されており、一部のファンから密かに注目を集め始めていた。

 さらに「キモかわいい」という使い勝手の良い表現方法が流行しだすと、そのカテゴリーに分類されるように、アッガイが多くの人から注目を集めだしたのだ。それは従来の男性ガンダムファンのみならず、ガンダムシリーズに触れたことがなかった女性にも、ガンダムのキャラクターとして認知されることとなる。

 こうしてじわじわと人気の底から這い上がってきたアッガイに続くように、「MSV」の「アッグシリーズ」も表舞台へと姿を現し始めたのだ。

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