■女子が男子校に編入する王道ラブ!『花ざかりの君たちへ』中条比紗也

 1996年から連載された中条比紗也氏の『花ざかりの君たちへ』は、主人公・芦屋瑞稀が憧れの陸上選手・佐野泉を追って男子校へ編入するという“ありえない設定”で、イケメンたちに囲まれた逆ハーレム生活を送っていくストーリーだ。

 堀北真希小栗旬など豪華なキャストを起用したテレビドラマは、脇役にいたるまで“イケメンすぎる”キャストが出演し、そのあとも主演に前田敦子を起用したリメイク版が制作されたり、台湾や韓国などでもドラマ化されるほど世界中で人気を博している。

 連載終了から19年という月日が流れた現在でも、作品名を知らない人はいないであろう『花ざかりの君たちへ』。『花とゆめ』を代表する、押しも押されぬ名作の一つだ。

■異性に抱きつかれると動物に…!?『フルーツバスケット』高屋奈月

 1998年から連載された高屋奈月氏による『フルーツバスケット』も、忘れられない『花とゆめ』の珠玉の作品だ。

 母親を亡くして天涯孤独となってしまった主人公・本田透と摩訶不思議な呪いに苦しむ一族「草摩家」との交流が描かれた本作。透の優しくあたたかい心に触れ、傷ついた心がほぐれていく草摩家の人々のエピソードが「泣ける」と人気を博した。

 自分自身もつらい境遇でありながら、亡き母親の教えから紡がれる透の言葉は、ときとして名言となり、勇気づけられたファンも少なくないだろう。

 本作は2001年にアニメ化を果たしているが、2019年にスタッフとキャストを一新して再びアニメ化。2021年からは最終話までを描いた最終章『The Final』が初の映像化されたことは記憶に新しい。

 連載終了から17年という月日を経てもなおファンに愛される本作は、当時の読者の心に深く刻まれている。

■連載開始から27年! 未完の名作『闇の末裔』松下容子

 1996年に連載が開始された松下容子氏の『闇の末裔』は、長期休載などを経ていまだ“未完の名作”と言われている。

 死者の生前犯した罪を裁く「十王庁」で働く“死神”の都筑麻斗を主人公に、ある人間が巻き起こす事件によって死神たちの知られざる過去が明かされていくというストーリー。

 長期休載をしていた『闇の末裔』は、第11巻から第12巻の発売まで“8年”かかり、そのあと2017年に“7年半ぶり”の新刊である第13巻が発売され、長すぎる沈黙を破った吉報にファンは沸いていた。本作は緻密に描き込まれた描写が印象的なのだが、“7年半”という月日を経て、よりパワーアップしているようで、ファンからは「続き待ってます!」と熱い思いが寄せられている。

 連載開始から27年という『闇の末裔』の壮大なストーリーが完結するのを、ファンたちは心待ちにしているようだ。

 

 1990年代に『花とゆめ』で連載されていた作品は、振り返ってみると名作ぞろいだった。そしてファンの心に残るこれらの名作は、約30年という月日を経てもなお色あせることはない。名作たちを生み出し続けている『花とゆめ』の作品を、この機会にぜひ読み返してみてはいかがだろうか。

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