“黄金期”の90年代『りぼん』『なかよし』卒業後は『花とゆめ』に移行した…“ちょっと大人に感じた”当時の名作を振り返るの画像
花とゆめCOMICS『花ざかりの君たちへ』第1巻(白泉社)
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 今も昔も、小中学生を中心に大人気の『りぼん』(集英社)や『なかよし』(講談社)などの少女漫画雑誌。とくに、“りぼん黄金期”といわれる1990年代は名作たちが次々と生まれた時代でもある。そのなかで、やや“大人”な要素が強い作品が連載されていたのが『花とゆめ』(白泉社)だ。そのため、前述した小中学生向けの少女漫画雑誌の読者たちが、卒業して本誌に移行することも多く、当時『花とゆめ』をドキドキしながら読んでいた記憶がある人も多いだろう。

 今回は『花とゆめ』の連載作品のなかから、1990年代に的を絞って名作を振り返っていこう。

■壮大なスケールのSF作品!『ぼくの地球を守って』日渡早紀

 1986年から連載された日渡早紀氏の『ぼくの地球を守って』は、累計販売数1300万部を記録した大ヒット作品だ。

 “前世”や“転生”など非日常な要素が盛り込まれており、主人公・坂口亜梨子が動植物の思考を読み取ることができるなど、“超能力”も登場している。

 当時、通称「ぼく地球(タマ)」と呼ばれ絶大な支持を得ていた本作は、少女漫画でありながら男子からの人気も高く、その背景には70年代から始まった“オカルトブーム”があったことも関係していたと言われている。独創性のあるストーリーに加えて、“輪廻転生”などスピリチュアルな要素が当時の子どもたちに刺さったのだろう。

 1994年に連載は完結したが、まさに1990年代の『花とゆめ』を牽引した名作の一つだ。

■小学5年生の子どもが子育て…⁉︎『赤ちゃんと僕』羅川真里茂

 1991年から羅川真里茂氏により連載された『赤ちゃんと僕』は、小学5年生の男の子・榎木拓也が父子家庭となった家族を支えるため、2歳の弟・実の子守りや家事に奮闘していく物語。

 現代における“ヤングケアラー"を彷彿とさせる本作は、シリアスな設定ながら登場人物たちのあたたかい雰囲気で、ほのぼのとしたシーンが多かった。

 母親を亡くし、自分自身も子どもであるなか、小さな弟と向き合い葛藤していく拓也の心情が丁寧に描かれており、涙なしでは見られない名作だといえるだろう。

 ちなみに、本作完結後に羅川氏が連載を開始した『しゃにむにGO』は、前作からはガラリと雰囲気がかわり「テニス」を主軸にしたスポーツ漫画になっている。テニス初心者でありながら類い稀なる才能を開花させていく主人公・伊出延久の胸が熱くなる物語が描かれており、こちらもまた当時の『花とゆめ』を代表する名作となった。

■妖艶な絵柄と重厚なストーリーにドキドキ!『天使禁猟区』由貴香織里

 1994年から連載された由貴香織里氏の『天使禁猟区』は、天使や悪魔が登場するダークファンタジー作品で、地球のみならず地獄や天界などを舞台とした壮大なスケールで描かれていた。

 由貴氏の妖艶な絵柄は、まさに“大人”な雰囲気を感じられ、主人公・無道刹那と実妹・紗羅の“禁断の恋”の行方や、天使と悪魔の激しい攻防など盛りだくさんな内容でファンの心を掴んだ。

 その美しいキャラデザインからコスプレをするファンも多く、2022年4月からは『花とゆめAi』で新章となる『天使禁猟区-東京クロノス-』の連載が開始されており、令和の今もなお、ますます注目が高まっている。

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