魔法が使えない少年・マッシュが魔法学校に入学し、鍛え上げた己の肉体を武器に魔法エリートたちを打ち負かしていくファンタジー作品。魔法と肉弾戦が融合したド派手なアクションに加え、天然なマッシュが巻き起こすシュールなギャグも魅力で、シリアスとコメディが融合した作風が人気の秘訣。4月7日(金)からのTVアニメ放送を記念して、マッシュにぞっこんのヒロイン・レモンを演じる上田麗奈さんのインタビューをお届け。
■自己肯定感の低さがふたりの共通点!?
ーー原作漫画をお読みになった印象はいかがですか?
ど直球のコメディで、とにかく面白いなっていうのが第一印象でした。それでいて意外とシリアスな描写もあって、コメディを思う存分浴びた後、すぐに差し込まれるシリアス展開でキャラクターたちが深掘りされるなど、そのメリハリが最高ですよね。キャラクターたちがもれなくぶっ飛んでいるのも大好きで、もうずっと見ていられる作品だなと思います。
ーーそのぶっ飛んだキャラクターのなかでも、上田さんが演じられているレモンはひときわ強烈なキャラクターですよね。
そうですね。レモンちゃんはマッシュ君のことが大好きなんですけど、ここまでの情熱と愛情を持ち続けられること自体がすごいことだなって尊敬しちゃいます。私にはとてもここまでのエネルギーは生み出せないです。あとレモンちゃんって、自己肯定感の低さからくる爆発力があって、それが愛おしいんですよね。おそらく本来の自分が持っている以上のパワーやエネルギーを発揮していると思うので、ネガティブだからこその強さは魅力的だなと思います。
ーー上田さんとレモンちゃんの共通点はありますか?
自己肯定感の低さ(笑)。なかなか初対面の人に対してフランクに絡めないところなんかはすごく分かりますし、それでいていざという時は大切な人のために苦手なことも頑張れるっていうのも共感できます。私は電話が苦手なんですけど、ウチの猫ちゃんたちのためなら病院の予約とかも頑張って取りますし(笑)。
ーー自分ではなく、大切な誰かのためなら頑張れるタイプなんですね。
そうです。レモンちゃんと比べるとあまりにスケールが小さいですけど、同じタイプです。
■噛み合わないボケをうまくまとめる
ーー実際にレモンちゃんを演じてみて、改めて発見したことなどはありますか?
意外としたたかな一面もあるんだなっていうのは演じてみて初めて感じました。オーディションの際は、なにかトラブルがあるとパニックになるというか、恐怖で我を忘れてしまう性格かなと思っていたんですけど、そういう時でもマッシュ君が絡むとちょっと可愛こぶるというか、あざといところがあるんですよね。私が思っていたよりもレモンちゃんにとってマッシュ君の存在が大きくて、そこはビックリしましたね。
ーーマッシュには可愛く、ドットには塩対応と、レモンは一瞬で対応が変わったりするので、切り替えが難しそうです。
難しいですね……。家で練習している時には「これはもう無理かもしれない」って思ったりもするんですけど、現場に入ってみなさんの掛け合いのテンポ感のなかに飛び込んでいくと、意外とうまく切り替えることができたりもして。やっぱり本番でしか出せない瞬発力もあるので、そこはみなさんに助けられながらできているなっていう気がします。
ーーほかにレモンを演じるうえで意識されていることはありますか?
基本的に他人の話を一切受け付けないタイプの子なので、とにかく思いきり弾けるようにしています。話数を重ねるごとにどんどんとレモンちゃんが私に馴染んできていて、それにともなってお芝居も独特のニュアンスになっていると思います(笑)。
ーー皆さんとの掛け合いはいかがですか。
個性と個性のぶつかり合いですね。とくにボケチームは会話が噛み合っていないのがおもしろくて(笑)。一緒に収録していてもキャッチボールをしている感覚はほとんどなくて、最初は「大丈夫かな?」と思っていたんですが、そこはツッコミのフィンやドットの絶妙な立ち回りでうまくまとめてくれていて。とくにドットはツッコミもボケもどちらにも回るので、江口(拓也)さんの負担は相当だと思うんですけど、本当に的確にフォローしてくださるので、私たちボケチームも安心して暴走できているような気がします。
■「嫌な奴」に思わず感情移入!?
ーー印象深いシーンはありますか。
レモンちゃんがドットに初めて話しかけるシーンです。ドットを気遣うセリフで、レモンちゃん自身はいっさいあざとさを意識していないんですけど、ドット目線ではそれがめちゃめちゃ可愛く見えてしまうという構図なんです。このシーンだけはそれまでのレモンちゃんのお芝居としてはイレギュラーな感じがあって、演出も含めてどんなシーンに仕上がっているんだろうと、今からワクワクしています。
ーー個人的にお気に入りのキャラクターはいますか。
第1話に登場するんですが、マッシュたちの編入試験を担当するルッチ先生です。原作を読んでいるときにはそこまで気にならなかったんですけど、声がついたことですごく人間味が増していて、大好きになりました。「嫌な人」と言えばそれまでなんですけど、でもそういうネガティブな気持ちになるのも分かるんです。なにせマッシュが強すぎますから、ついついそう思っちゃうよねって(笑)。今後、ルッチ先生が心穏やかに生きられたらいいなと、ちょっと応援したくなりました。
ーーでは最後に、放送を楽しみにしているファンの方へメッセージをお願いします。
コメディとシリアスのバランスやテンポ感の良さなど、原作の魅力を保ちつつ、そこに動きや音、芝居が加わることで、キャラクターの個性がより豊かに感じられて、解像度が上がっているのではないかと思います。オープニングとエンディングもすごく遊び心に溢れているのが伝わってきますし、キャスト陣はもちろん、スタッフのみなさんも含めみんなが楽しみながら作っている作品なので、ぜひご覧いただきたいと思います。
《プロフィール》
うえだ れいな
1月17日生まれ、富山県出身。2012年声優デビュー。15年には「第9回声優アワード」で新人女優賞を受賞。近年の出演作に、『ロード・エルメロイII世の事件簿』(グレイ)、『鬼滅の刃』(栗花落カナヲ)、『虫かぶり姫』(エリアーナ・ベルンシュタイン)、映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(ギギ・アンダルシア)、『グリッドマン ユニバース』(新条アカネ)など。